彩瀬まる「花に埋もれる」感想~受け入れられないものとどう向き合うの?~
受け入れられないものとどう向き合うの?という問いに対し、宇多田ヒカルはこう歌っている。
この歌詞はアメリカの神学者ニーバーの言葉を引用してるらしい。
そのニーバーの言葉は、
本書は、受け入れられないものと向き合ったときに人はどうするのかが描かれていたのかな。
ということで、宇多田ヒカルの歌詞に導かれ、ニーバーの言葉に辿り着いた。
・なめらかなくぼみ
・二十三センチの祝福
・マイ、マイマイ
・ふるえる
・マグノリアの夫
・花に眩む
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体から石がこぼれたり、両想いになると石が共鳴したり、夫が木蓮の花になったり、体から葉っぱが生えたり...。
現実とはかけ離れた幻想的な世界観なる、凛としたたおやかさと芳醇な匂いがする初期の彩瀬作品が詰まった短編集。
「ふるえる」と「マグノリアの夫」が好き。
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「ふるえる」
好きになると体に石が生まれる。
両思いになると石は交換され、片思いだと石は取り出される。
受け入れらなかった恋の石は美しい。
受け入れなかった喪失感が美しい。
神よ、
変えることのできるものを変える勇気を与えたまえ。
「マグノリアの夫」
俳優の夫には秘密があった。有名な音楽家の隠し子だったのだ。
会えない父親に、存在を認められたくて幻想を抱き続ける夫。
舞台で本物の木蓮の木のようだと評判になり、やがて本物の木蓮になってしまった夫。
夫は妻の残酷な言葉により砕け散る。
そして妻は一番大切なものを失ってしまう。
神よ、
変えることのできないものを受け入れる冷静さを与えたまえ。