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アイスコーヒー
アイスコーヒーの美味しい季節になりました。
といっても、ブラックで飲むなら熱い珈琲。
アイスで飲むのは、家ならカフェオレ。外ならカフェラテ。
近頃はアイスコーヒー用の豆や粉が売っているけれど、ミルクに入れた時にどうしても水っぽくなってしまって好きになれない。
夏にのむアイスカフェオレはインスタントコーヒーを使います。大きなグラスにインスタントの顆粒をひと匙半。そして冷たいミルクをたっぷりと注ぐ。
今朝、インスタントコーヒーの容器の蓋を開けた時、ふいに父を思い出しました。
今年の春に逝った父。
父の朝は、インスタントコーヒーを飲むところから始まりました。
1階の雨戸を開け、新聞を取りに行く。玄関でサンダルをつっかける音、玄関の鍵を開け、引き戸を開き、ポストの新聞を取り出す音。
父の飲むコーヒーはクリープと砂糖いり。
インスタントコーヒーの粉とクリープ、砂糖を愛用のコーヒーカップに入れ、電気ポットのお湯を注ぐ。スプーンがカラカラとカップに当たる音、ミルクコーヒーの匂いが階下から伝わる。
そのカップも、昔は客用としていたものでした。尋ねるお客さんもほとんどいなくなって、父が使い出したコーヒーカップ。
作りたては熱いので、ダイニングテーブルやカウンターに、スプーンを入れたまま冷ましているカップの光景を思い出します。
父はというと、テーブルや茶の間に座り新聞を広げて。
わたし、もっとちゃんと家族しておけばよかったよ。
いつまでも子供のままでいたかったから、自由な子供でいたかったから、意図的に何をすることもなかった。
大人なんだから、一緒にいられる時間は限られているのだから、もっとその時間を大切にすればよかった。こんなに後悔するなんて思ってもみなかった。
朝ごはんも、お昼ご飯も、作ってあげればよかった。難しいこと、ないでしょう。簡単なもので良いのよ。自分が食べなくてもさ、作ってあげればよかったよ。料理の嫌いな母に反抗するように、何であたしが作んなきゃいけないのよ、お母さんがいるのにさ、ってふてくされて作らなかったけれど。
玄関の鍵が閉まらないと言った時、もう始まっていたんだよ。それまでの生活が壊れてしまうようで、見て見ぬ振りをしていたわたし。
それまでの生活とは変わるかもしれないけれど、もっと家で一緒に暮らせたかもしれないのに。
今となってはたらればだけれど。
こんな風にして、日常の場面場面で思い出しては切なく、後悔し続けるのだろう。
これを教訓に。いま、わたしが成長するときなのかもしれない。