オレイカ

フェミニストです。日常の中で感じたこと、考えたことを書いています。

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最近の記事

町の中にあるセーファースペース

出張先に少し早めに入って、ランチを食べに行った。SNSで見かけて気になっていたところで、大通りに面した建物の2階だった。 階段を上がりガラス扉を開ける前に、店の入り口にプログレスプライドフラッグがあるのが見えた。 ランチメニューはメインが唐揚げで、大豆ミートが選べたのでそれで注文すると、ビーガン対応にするか確認してくれた。 その日つけていたスイカ🍉のイヤリングを、お店の人が「素敵ですね」と褒めてくれた。 店内にはたくさんステッカーが貼ってあって、チラシも置いてあって、トイレ

    • 今の自分を楽しむ

      「団地のふたり」を観ている。キャストも好きだし、描かれる世界も好き。また1週間が始まるなと憂鬱になりがちな日曜の夜に、穏やかな気持ちになれる。 歳を取ることはネガティブに語られがちだけど、このドラマの中では、みんな今の自分たちを楽しんでいる感じがする。「今の自分たち」が、かつて描いていた「◯歳の私」の像、典型的な幸せとしてイメージされるものとは異なっていたとしても。 シスターフッド!!な物語で元気になることもあるけれど、ゆるさを伴いながら、自分たちのペースで生活を営んでい

      • じっくりみんなで読む

        ある読書会に初めて参加してみた。別の場で出会った人に、声を掛けてもらったのがきっかけだった。 ひとりの人をテーマにした会であることは聞いていて、その人が書いた課題図書を事前に読んでくることが望ましいとのことだった。図書館で借りて読んでいったものの、どんな人がいるのかとか、どんな雰囲気かとかは未知数で少し緊張していた。 同じ本ですでに数回読書会をやったわりには、あまり進んでいないな...?と思っていたが、参加したらその謎が解けた。 課題図書は、著者が自分が暮らす地域の歴史に

        • フィクションの力

          最近知り合ったフェミニストの一人が、映画『ラストマイル』を観て、自分は面白かったが、「社会派」のテーマに抵抗を覚える人もいるのではと思ったと話していた。 私も劇場で観て、新自由主義の資本主義社会で生きていて、「便利」がどうつくられ、どんな論理の元で動き続けているのかを問題提起する作品だなと感じた。逃れられないというか、その中でどう抵抗したり、利用されないようにしないとなーとも思った。(『アンナチュラル』と『MIU404』も観ていたので、その繋がりも楽しんだ) 『虎に翼』と

        町の中にあるセーファースペース

          (異)性愛規範の社会で生きている

          先日歌番組で、彼氏/彼女に歌ってほしい曲の街頭インタビューを放映していた。たまたま一緒に観ていた親に、「彼氏に歌ってほしい曲はって聞かれても答えられないね」と言われたので、「私を異性愛者だって決めつけないでって答える」と言ったら笑っていた。 これまでにパートナーがいたことがあるというのは知ってるし、きっと私がアセクシュアルという可能性は考えていないんだろうなと思った。そういえば以前母に「(結婚するつもりはないって言ってるけど)でも彼氏はいるんだもんね?」と聞かれたこともあっ

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          Aro/Aceの本を読むのがこわい

          先日図書館で、『いちばんやさしいアロマンティックやアセクシュアルのこと』を見かけて、手に取った。4名の著者のうち、三宅さんや中村さんの講演は聞いたことがあり、きっと読んでも傷つくことはないだろうなという安心感(信頼感)はある。前から気になっていた本だった。 あ、見つけたと思って開いてみたものの、最初の方の数ページをパラパラと見て、なぜか中身を読むことができなかった。じっくり読んでみることにこわさを感じた。これまでに他の(主にアセクシャルの)本は読んだことがあるので、なんでそ

          Aro/Aceの本を読むのがこわい

          「ボーイッシュ」以上にはなれない

          先週の続きで、美容室に行った時、私は今までで一番髪を短くした。今年の春、今までで最短にした時よりもさらに短く。 すると美容師さんから、「どんどんボーイッシュになっていきますね」と言われた。私はどこまでいっても女なんだなと思った。

          「ボーイッシュ」以上にはなれない

          美容室で置かれる雑誌

          先日美容室に行った時、私の目の前に置かれた雑誌は ・Hanako(旅や街めぐりがテーマ) 2冊 ・町のパン屋さん特集 1冊 だった。今まで置かれたなかで、一番平均点が高く、標準偏差が小さかった気がする。 アシスタントの方が持ってきてくれたのだが、主に私の見た目(カルテを見ることもあるだろうけど)で選んだと思われる。 これまでは、女性向けファッション雑誌と呼ばれるようなものが多かった。それぞれの雑誌にも特色があるが、特にこれはなかなか私が普段手にとらない(きっと今後もない)

          美容室で置かれる雑誌

          セックスのないパートナーシップは不完全?

          先日友人と話していて、気がついたことがあった。大学時代に付き合っていたXには他の人とセックスしていいよと言っていたが、その後付き合ったYには多分、そのように言ったことはなかったか少なかったということだ。 Xに対しては、セックスの相手というか、性欲を満たす相手?を、私だけに求められることにしんどさを感じていた。 Xは「好きな相手だからセックスしたいと思うのであって、他の人としたいとは思わない」と言っていた。(旅行中に友人たちは性風俗店に行ったけど、自分は行かなかったみたいな話

          セックスのないパートナーシップは不完全?

          ひとりと孤独

          ひとりという状態と孤独は、直結はしないと思う。多くの場合、生活を共にする人や、今は離れていてもかつてはそうだった人(親子関係など)がいることをひとりじゃないと呼ぶ気がする。 私の場合は、今は親が生きているが、いずれそういう意味でのひとりになるだろう。それに対する怖さがないと言ったら嘘になる。 友人や地域の人との繋がりがあれば、きっとひとりではない。今や地理的な距離が離れていたって(なんなら人間でなくたって)ひとりにならないことはできる。けど、怖さはある。 今の私の怖さが何

          ひとりと孤独

          「正しくない」人としての私

          少子化は問題だ、その対策として結婚する人を増やそう という力が働いている。 個人のパートナーシップのあり方や、子どもを育てるか/産むか、それは何人かといったことに、国などの権力が介入してはならない。 もし仮に、少子化は問題だと考えているならば(誰にとっての問題?)、その人口比率でも耐えうる制度をつくるとか、「正しい家族」の規範をかたちづくる法制度を変えるとか、個人の選択や身体に介入する前にやることがあるはずだ。 個人が自分で選択できように、選択肢を示すこと、考える機会を提

          「正しくない」人としての私

          私にとっての非婚とアセクシュアル(と、ジェンダー・アイデンティティ)の現在地

          私はアセクシュアルと自認しているが、それはここ1年くらいのこと。その前から、自分はアローセクシュアルだと思っていたときから反婚で、非婚で生きると決めていた。 婚姻の平等が達成しても、別姓での婚姻が実現しても、少なくとも戸籍制度と切り離せない日本の制度の中で結婚はしない。その延長線上と私は考えているので、いわゆる事実婚もしない。そう決めていた。(この選択は私が持つ特権性がなければできない選択だと思うし、社会の構造に対して批判的なのであって、結婚する個人の選択に口出しするつもり

          私にとっての非婚とアセクシュアル(と、ジェンダー・アイデンティティ)の現在地

          町の均一化

          思春期を過ごした町に行ったとき、かつて初めての恋人と映画を観たり、友人に誕プレを買ったりした商業施設を訪れた。ちょっと、ショックだった。すっかり東京などにある商業施設と変わらないように感じたからだ。 私が利用していたときは、ローカルの雑貨屋さんなどが入っていたが、それらはなくなっていた。代わりに、大手の(雑貨、衣服などの)チェーン店が売り場の大部分を占めていた。 その町に暮らしていた当時は、全国放送のテレビなどでもよく取り上げられるそうしたチェーン店に憧れていた。私が今も

          匿名性のない町

          先日、仕事で思春期時代を過ごした町に行った。コロナ禍などもあり、前に訪れたのは5年以上前。大学進学を機にその場所を離れた後にも何度か訪れていたが、今回は今までと感じ方が違う部分がいろいろあった。 久々に故郷に帰ってきたといううれしさはいっぱいだったのだが、同時に「怖い」という感覚があった。いつどこで誰に会うか、誰に見られているかわからないという「怖さ」だ。 そこに暮らしていたときはそれが当たり前だったし、ほぼ学校(と塾)と家という狭い範囲で生きていたから、あまり気にしたこと

          匿名性のない町

          アセクシュアルを自認するまで(4)

          (3)で書いた人とは別れることになって、その後でまたもう一人私を好きと言ってくれる人がいた。 私は誰とも結婚するつもりがないことや、セックスは苦手であることを伝えた上で、付き合うことになった。この時もまだ私は、セックスが「苦手」であることについて自分が変われるかもしれないという希望?を持っていたと思うし、相手もきっとそうだったのだと思う。 当時私は自分のことを、アセクシュアルっぽさがあるヘテロだと思っていた。それでも、LGBTの4つ以外にもいろいろあって、中にはアセクシュア

          アセクシュアルを自認するまで(4)

          2017年のニューヨークで

          初めての1人海外旅行は、アメリカのニューヨークだった。なんとなく、その時影響を受けたり好きだったりしたアーティストなどが、ニューヨークで人生の転機があった語っていることが多くて、いつか行ってみたい!と心惹かれたからだった(ミーハー心で)。 行ったのは2017年で、自由の女神は見なかったけれど、有名な観光地はだいたいまわった。5番街で道の両サイドに国旗がずらっと並ぶ景色を目の前にして、ドラマみたい!!と思った記憶がある。 印象的だったことはたくさんあるけれど、その中で2つ。

          2017年のニューヨークで