ChatGPTが文学賞をとる日
皆さん、ChatGPTに物語を書いてもらった事はありますか?
「ファンタジーの物語書いて」といったような、人間だったら「ふざけるな!」と言って机をひっくり返す依頼でも、ChatGPTなら文句も言わずに物語を語ってくれます。
気に入らなければ、書き直させたり、キャラクター設定を追加させたりと、とにかくどのような要求を出してもChatGPTは物語を作りだしてくれます。サービスと時間が続く限り、永遠に物語をしゃべらせ続けることもできるでしょう。
さて、AIが文学賞を取るような日が来るのでしょうか?
それ以前に「ChatGPTを使っている」と公言して物語を発表する人は現れるのでしょうか。
間違いなく現れます。
おそらく夏までに「AIの書いた小説!」というものが出てきて話題になるでしょう。
そしてそれを最初にそれをやるのは、これまでに物語を一切書いたことのないYoutuberやブロガーだと思います。
彼らは「ChatGPTで小説を書いた!」と発表しても全くデメリットはありません。むしろこのアテンションエコノミーの時代、彼らが血眼になって追い求めているのは話題性で、「AIが書いた!」と発表するのは注目を集めるという意味でメリットしかない状態です。
無名から社会現象になった「電車男」
その昔、文筆家として全く実績のない人達が書いた物語が注目されたことがあります。
「電車男」という作品をご存じですか?
元は2ちゃんねるという匿名掲示板に書かれた投稿です。ひと昔前のコンテンツなので知らない人もいると思います。「電車男」がどのようなものか、どのように流行ったかなどの経緯はこちらをご覧ください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E8%BB%8A%E7%94%B7
さて、この電車男は小説化のみならず、漫画、アニメ、ドラマ、それから映画化までしています。内容自体は単純な恋愛小説なのですが、インターネットの投稿が注目されている、という話題性から社会現象にまでなりました。これは実績のない人の作品でも話題性があればコンテンツとして広く展開できた好例です。
話を戻しますが、とにかく話題性、とにかく新しいものをウォッチしているYoutuberの事務所がChatGPTのムーブメントを見落とすわけがありません。裏でメディアや出版社と組むなどして「AIが書いた小説」を意図的に流行らせそうと画策しないわけがありません。
そしてもし「AIが書いた小説」が発表されるとすれば、それが一番話題になるのは最初の一人です。とにかくChatGPTを回せば物語はできるという意味では敷居は恐ろしく低いので、この「初めてのAI小説家」の称号を目指す人は星の数ほどいるでしょう。
夏までに出てくると言ったのはそういう理由です。おそらくYoutuberの事務所に限らずあちこちで「AIが書いた小説」という話題性でコンテンツを育てる戦略を考えているはずです。
もしかすると、始めは「期待の新人!」という形でAIであることを隠して話題にし、あとから「あの新人は、実はAIだった!」というサプライズを仕掛けて印象付けようとする出版社も出てくるかもしれません。
話題性という意味では、AIが書いた小説に文学賞を取らせる団体も出てくるでしょう。
もちろん芥川賞のような名のある賞はAIに賞を取らせるなどするとブランドが傷ついてしまいますのでやらないと思いますが、文学賞として認知度が低い賞(文学賞ってけっこう沢山あるみたいです)の運営者が、話題づくりのために「AIの書いた小説が〇〇文学賞受賞!」という事もありえます。
もし既存の文学賞の団体がのって来なければ、社団法人や民間企業を使って「AI文学賞」なる物を新設する団体も出てくるかもしれません。〇〇受賞!や〇〇認定!など、商品にブランド価値をつけるためにそういった賞を創作することはよくあることです。M-1やキングオブコントも、似た面があるように思います。
なんだか「話題性が全て」みたいな話になりましたが、悲しいかなこのアテンションエコノミーはそういったものです。AIが文学賞を取ると断言したのはそういった理由からです。
文学賞になるほどの内容を書けるのか?という疑問があるかもしれませんが、ChatGPTが質の高い文章を書けるのは折り紙付きですし、物語全体として整合性が保てるようにプロンプトを調整すれば、一般の人が読んで面白いと思えるものは作れるでしょう。
評論家に見せればツッコミどころも沢山でてくるでしょうが、それはAI小説家にとってメリットでしかありません。いろんな人から批評されるなら、それはそれで注目があつまり盛り上がります。
小説において、その小説の質が高いか低いかなんて、決着がつくことはありません。「注目こそ正義!」とばかりに質もツッコミどころも無視してAI小説が溢れ始めるかもしれません。
アテンションエコノミーのなれの果てみたいな世界ですね。小説の価値ってなんでしょうか。
さて、「最初のAIの小説家」の称号を手にするのは誰なのか。
最初にAIに文学賞をあげるのは、いったいどこの団体でしょうか。