Vの潜在的身バレリスク: VTuberはスタジオの写真をあげるな
昨今、VTuberはホロライブなどを中心にリアルな写真をあげることは最早珍しいことではなくなり、かつて「実写の写真をあげるな」と多数の批判にあっていた時代とは打って変わっただろう。
しかし、VTuberの潜在的リスクとして、インターネットで活動する以上、ネットストーキングや身バレ、特定などを避けることは技術の進歩などによって、より難しい環境になっている。
今回はVTuberの身バレ・特定リスク、特にスタジオでの特定リスクについて警鐘を鳴らす。
身バレすると何が悪いのか?
あえて簡単かつ極端に書きましょう。
1. ストーカー被害に合う可能性やきっかけになることがあります。
2. あなたの顔写真がネットで拡散されるかもしれません
3. あなたが活動できなくなる可能性があります
4. 直接対面することになった際に、この事件やあの事件のようにあなたの身に危険が迫る可能性があります
5. あなただけでなく、あなたの周りにも大きな被害が出るかもしれません
なぜここまで極端書いたか? そもそもVTuberの多くは顔を出さずに活動をしていますね。VTuberを知る人の中には前世を知りたいと調べる者がいるように、顔が知りたいと思うものもいるわけです。人間は手に入らないものを手に入れられそうと分かるとき、強欲になるものです。中には力づくでも調べようとするものがいてもおかしくありません。活動において顔がわかるだけでもリスクになると言い切れるでしょう。
過去の事例
過去、VTuber分野においてこのような身バレや特定の類いの人間トラブルは多数存在する。
にじさんじ所属の郡道美玲先生は、仙台の旅中に身バレをし、あろうことかその身バレをした男性の車に乗車寸前に。何事もなくその場は済んだが、後日マシュマロでその男性が郡道美玲であることをわかっていたと告白し、その男性の行き過ぎた行動と郡道先生自身の危険リスクを考慮していなかった行動に一部批判が集まった。
つい最近あった話であれば、「週末に公開する映画を見に行く」という旨のツイートをしたVTuberが地方在住と過去に発言していたことで、見に行こうとしている映画館が3箇所まで絞り込まれた事案があった。
この事案の最大の問題点は、特定が容易であったことにある。地方の映画館では、上映数が少ないというだけでなく、観劇する人数も少なく、複数人で3箇所で行われる上映の張り込みを行えば、大体の年代と性別だけでもそのVTuberであるとほぼ特定できてしまう。このツイートは、そのVTuberのファンが運営に対して警鐘を鳴らしており、そのリスクについて話題になっていた。
そもそも身バレや特定は、郡道先生の例に学べるように悪意のある者だけが行えるものではないということを念頭におかなければならない。日常的にツイートした内容や配信で話した内容などが蓄積することで特定されることがある。また、郡道先生の例では、旅行に行くことを発言していたこともあり、声で把握されている。蓄積がなくとも、一度の発言や行動が決定打になるという裏付けだろう。
ここから主題
以上のように、特定や身バレがいかに簡単にされてしまうものか、いかに危険なものであるかある程度はわかっていただけたと思う。出来る限り、リスクは避けるべきであり、その心身に傷1つでも付けられれば大問題である。活動が特定・身バレを原因に終了してしまうことは、絶対に避けなければならない。
その上で、今私が警鐘を鳴らしたいとTwitterで発信しているのは、VTuberがスタジオの写真をアップロードすることは避けるべきであるということだ。
なぜスタジオの写真をあげてはならないのか?
そもそも、このレコーディング業界などでは仕事中の写真はあまり撮るべきではないという暗黙のルールがある。これは、概ねどのスタジオもそうで、もし写真を撮影するのであれば、スタジオのスタッフに必ず確認を取ることが必須だ。
しかし、多くのVTuberやそのスタッフはその知識がない者も恐らく多い。実際、私が関わった個人のVTuber数人とそのスタッフもレコーディングスタジオなどが初めてだということを言うのがほとんどで、スタジオに日常的に通っている者はかなり少ないだろう。
また、写真を撮り、SNSにアップするようなことがあるなら、写真に壁、床、機材が見えない写真であることが条件だろう。また、〇〇にあるスタジオなど地名を言うと写真に映るスタジオの規模感などから使っているスタジオがかなり限られるため、地名を出すことはまったくもっておすすめしない。
他にも様々な理由はあるが、スタジオの撮影は知らないうちはシビアになるべきものだ。
メモのためになら撮影してよいといったところもあるが、稀にメモでも断られることはあるぐらいなので、必ず一度許可を得てほしい。
中でも最先端技術を使用したスタジオは場所そのものが企業秘密の塊とも言えるので、撮影をしたことがわかるだけで大きなトラブルになる可能性もあるので特に注意だ。
壁や床が見えるだけでわかる
スタジオの壁や床は、吸音などの機能を持たすために、通常の建築物とは異なる素材を使用している。その壁や床もインテリアや見栄えに気を使うスタジオであればあるほど、派手にわかりやすくなり、有名なスタジオであればあるほど、インターネットで調べることができる可能性が高まり、写真掲載は特定のリスクになる。
特に、繰り返しになるが、関東住まい以外のVTuberがスタジオに来ている旨をツイートすることは最早「身バレさせてください」と言ってるようなものだ。地方に行けば行くほどスタジオの数は少なく、プライベートスタジオ以外のスタジオともなれば選択肢はかなり限られるため、よりリスクは高まるのだ。
例えば、新劇場版エヴァンゲリオンの声劇を収録した録音スタジオ、スタジオ・ドンファンの場合は顕著だ。
Studio Don Juan スタジオ・ドンファン
快適で居心地の良い空間づくり(ヒビノ)
これは、ヒビノという施工業者が施工事例を紹介しているページだ。中の記事をご覧になればわかる通り、スタジオは赤を基調としており、とてもどこのスタジオかは分かりやすくなっている。
一方、NHKが放映したエヴァンゲリオン総監督・庵野秀明を中心にしたドキュメンタリー「さようなら全てのエヴァンゲリオン ~庵野秀明の1214日〜」では、スタジオ・ドンファンと断定できるようなシーンが存在する。
最も、スタジオ・ドンファンは、サウンドチーム・ドンファンの名で映画にクレジットされているため、あとになれば分かるものだが、私が言いたいのは「スタジオは特徴すらわかればすぐにわかるものになる」ということだ。
機材も分かりやすいポイント
先日、私の映像業界の先輩にあたる方がツイートをしていた。
段々スタジオのケーブルや機材でどのスタジオかわかるようになったわ
スタジオには、様々な機材があり、VTuberの多くはその使い方や特徴も分からないものが大半だろう。バカにしているのではなく、一般大衆が実際にそうだからであり、私ら技術の専門職も専門外の機材はわからないことはある。
なので、機材やケーブル1つ映り込むだけでもリスクであることを頭に入れておいてほしい。実際問題、身バレして最も危ないのはその業界を最も知る同じ業界人だということを忘れてはならない。
まだ表沙汰にはなっていないが、少なくとも裏側では同じ業界人の出過ぎた行動というのはどこかの企業などでVTuber業界発足からの年数、関係社数、人口を考慮すれば、すでに起こっていると考えたほうが自然かもしれない。我々が最も警戒すべきなのは常にファンだけではないということだ。
VTuberにとって、顔バレ・身バレは本来隠れていた印象を大きく揺るがすものだ。今後、このようなことで刑事被害にあう者が出ないようにしていただきたい。
でも、わからない機材でもスタジオに出入りしたり、情報さえ知っていれば「ああ、あれは〇〇のスタジオにしかないやつだ」だとか「〇〇のスタジオなら◆色のケーブル使うよね」だといった判断はつくようになる。そもそもケーブルなどにスタジオ名が書いてあることも少なくない。
なので、機材やケーブル1つ映り込むだけでもリスクであることを頭に入れておいてほしい。実際問題、身バレして最も危ないのはその業界を最も知る同じ業界人だということを忘れてはならない。
まだ表沙汰にはなっていないが、少なくとも裏側では同じ業界人の出過ぎた行動というのはどこかの企業などでVTuber業界発足からの年数、関係社数、人口を考慮すれば、すでに起こっていると考えたほうが自然かもしれない。我々が最も警戒すべきなのは常にファンだけではないということだ。
VTuberにとって、顔バレ・身バレは本来隠れていた印象を大きく揺るがすものだ。今後、このようなことで刑事被害にあう者が出ないようにしていただきたい。
(冒頭の写真だが、私もスタジオに務めているが、あげれる写真がなかったために私物のMackieのMIX8の写真を用いている。)
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