黄金と詩
黄金と詩。黄金都市。
巨大な山、あるいは巨大要塞のような都市がある。
すぐに目の前にある。その都市は黄金都市と呼ばれる。
ほんの少し歩けば入れるくらいの距離にあって、街からの楽しそうな音楽やざわめきが聴こえてくる。
その都市の入り口には遮断装置がある。
遮断されていて正面から入ることができない。
また不思議なことに都市が実態を持つのは数時間で、近づくと霞んで消えてしまうこともある。
まるで詩のようにゆらいでいる。
遮断装置が開くの待ってキャンプを貼って過ごす者もいれば、
かぎりなく遠くて険しくて、辿り着く前に何人も命を落とすという道をたどる者もいる。
キャンプには市場ができて、音楽を奏でる集団がいて、新しい街ができた。
その街が大きくなって、やがて黄金都市が目の前にあることを忘れてしまった。
険しい道を選んだ者も同じ。道を切り開いたり、日々生きるのの必死で何を目指しているのかも忘れてしまう。
黄金都市は人々に発見されてから変わることなく輝き続けている。