『暖簾』の塩昆布
『暖簾』は山崎豊子の小説を川島雄三が映画化した作品です。
山崎豊子は言うまでもなく『白い巨塔』『華麗なる一族』『花のれん』などを残した小説家です。
『暖簾』のモデルになった昆布屋さんが実在し、東京にも支店があると知り、映画を観た当時すぐに買いに行きました。
小倉屋山本がモデル
モデルになったのは小倉屋山本の昆布です。
ホームページにも『暖簾』の話が書いてあります。
原作を読んでいると、職人気質の初代が極めたおぼろ昆布が食べてみたくなるのですが、映画を見ると二代目がヒットさせた塩昆布「磯菊」が気になります。
磯菊は映画の中だけの架空の昆布で、実際の小倉屋山本で戦後にヒットしたのは「えびすめ」だそうです。
磯菊のモデルになった小倉屋山本の「えびすめ」
山崎豊子は三代目の妹
その「えびすめ」をヒットさせたのは三代目なのだそうです。
そして原作者の山崎豊子はその三代目の妹なのでした。
森繁久彌演じる初代と二代目の親子は、山崎豊子の原作とはまた違う軽さ柔らかさがあり、映画独自のキャラクターになっているように感じます。
山崎豊子の原作は短い文章で畳み掛けるように書き進めていく力強さが印象的でしたが、映画はすっかり川島雄三と森繁久彌ならではの世界になっていました。
昆布にまみれた店、ピシッとした暖簾、大阪の街の雰囲気を映像で見られるのは楽しかったです。
冒頭のクレジットロールの背景で、主人公の丁稚時代をすべて説明してしまうのもびっくりしました。お見事。テンポがよく面白かったです。