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ユング/MBTI考察: 4心理機能→8心理機能への拡張 (1) JP指標おさらい/4序列導出
本記事では、MBTIの心理機能の序列に関しての考察を書いていきます。まずはじめに、MBTIは通常4心理機能モデルを用いていますので、その公式的な導出法を解説したいと思います。これはMBTIに詳しい方であれば、すでにご存知の方も多いと思いますが、おさらいとして。
ただし、「人は8種類の心理機能を全て持っている」という大前提に立つと、MBTIの4心理機能モデルにおいて、記述されない残りの4種の心理機能はどう解釈すればいいのか?が問題になります。そこで、MBTI における「影」の序列に関しての私の考察を次の記事で書いていきます。
それではまず、MBTIの基礎からおさらいをしていきましょう。
MBTI J⇆P指標のおさらい
MBTIではI⇆E、S⇆N、F⇆T、J⇆Pの計4つの両極から一文字ずつ自分の「利き手」を選びますね。しかし、元々ユング心理学の中ではJ⇆P指標は含まれていませんでした。これは、MBTIを作ったマイヤーズが導入した指標であり、16タイプを判定しようとした時に「その人の強くextraverted心理機能は何か」をJ⇆P指標で表そうとしたのです。extraverted機能は、外から目について分かりやすいですからね。
マイヤーズがJ-Pの外界への態度の指標を開発したときに、外界への接し方や外界で使われる心的機能を確認する以上のことをしようとしていたことがわかる。彼女は2つのことをあらたに定義することで、ユングの概念の実用化に成功したのだ。ひとつは、外向している心的機能と内向している心的機能が互いに作用していること。2つめは、一方の心的機能を他方より優先して働かせ、もう一方がそれを補佐するということである。(p.29-30)
判断的態度指向と知覚的態度指向のコミュニケーションの違い
イザベル・ブリッグス・マイヤーズは、各タイプ内で生じる相互作用に焦点を当てて、ユングが提唱したタイプ理論を引き継ぎ、さらにその理論を発展させた。先に述べたように、私たちは、知覚機能か判断機能のどちらかを外界と接するときに用い、外界で用いている機能の反対の機能を自分の内界で使うのだが、この難解なる違いをどう MBTI に盛り込んだらよいのか、イザベルは開発する際に奮闘したわけである。(p.190)
判断機能が外向されるときは、それが思考であっても感情であっても、ほかの人に見える判断として表れるので、とにかく結論づけようとしたがるということが考えられる。(p.191)
時間制限を設けようとすると、知覚を外向するタイプは時間で切ることは議論をせばめてしまうような気がしたり、後で得られるかもしれないもっと良い重要な情報をみすみす見逃すことになることが気がかりになることがある。(p.191)
知覚を外向する、すなわち知覚的態度を指向するタイプは、反対の判断的態度タイプが、かたくなで、強引で、独断的というふうに映るだろうし、反対にその判断的態度を指向するタイプにしてみると知覚的態度タイプが、判断できない無能な人に見えたり、優柔不断に見えることもあるだろう。(p.191)
判断的態度指向=判断機能を外向(e)=J
知覚的態度指向=知覚機能を外向(e)=P
MBTIでは、外向する機能をJ、Pとした。
注:ユング心理学では別 (詳しくは下で)。
つまりMBTIでは、
Jは (Te or Fe)&(Si or Ni)ペア
Pは (Ti or Fi)&(Se or Ne)ペア
を①主機能 or ②補助機能に持つ。
(注:これらの組み合わせだけだと8パターンしか発生しませんが、例えば①Te②Siと①Si②Teの並び替えも考慮すると16パターン発生することになります。)
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違う表現で言い換えれば、①は8パターン (8種の心理機能の内1つ)選ぶことができ、②は限定された2パターンから選ぶことができる。よって、この①②さえ決定されれば、①主機能8種×②補助機能2種=16タイプの完成です。つまり16タイプ分類では、①主機能と②補助機能が決まれば、残り③~以降は自動的に決定され得る、ということになります。
4心理機能モデルの公式的導出
例えば、INTPとESFJの2人の4心理機能モデル導出を考えます。まずはじめに、1文字目のI⇆Eによって何が決まるか?です。I⇆Eは自我を境界にした内側の世界(内界)と外側の世界(外界)において、意識を向ける「場」の役割です。人が生活する上では、上手に内界⇆外界に意識を向けられた方が、支障が少ないでしょう。よって、MBTIの1文字目は「①主機能が、I⇆E のどちらか」、をまず表し、残りの②③④はバランスよく i と e が交互に並びます。
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次に、理解の曲者となるのは、J⇆P指標です。そもそもユング心理学の定義ではJ=F⇆T、P=S⇆Nであり、FとTの総称をJudgement (J機能)、SとNの総称をPerceive (P 機能)と呼んでいたのです。つまりもともとは、
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だった訳です。マイヤーズはそこから表現を拝借して、MBTIにおいては「その人の強くextraverted心理機能」をJ⇆P指標としました。外(e)から見て分かりやすいからです。つまり、
![](https://assets.st-note.com/img/1679509018277-zUw3IueSsE.png?width=1200)
外向(e)がくっつくアドレスの役割
と決めた訳です。ややこしいですよね。このようにユング心理学とMBTIでは、JとPの意味合いが変わるので、そこは注意が必要です。
以上を踏まえ、MBTIの4文字から心理機能を導出する場合には、次の様なステップで思い浮かべるといいでしょう。
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(自由に転載可)
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「次のステップは何だっけ?」と
想像すると訓練になるかも?
同じ要領で、以下の表で確認しながら、MBTIタイプと心理機能の対応付けを確認してみるといいかもしれません。
![](https://assets.st-note.com/img/1679513304049-0V5rOFEaFk.png?width=1200)
(Help Yourself.)
心理機能から4文字を出す
慣れてくると、先程とは逆の手順により、心理機能 (①主機能と②補助機能)からMBTIタイプの4文字を出すことが可能です。むしろ、こちらの方が正確で早くて実用的です。
例えば、「あ、この人Neが一番強そう(主機能)だな」となった時点で、EN〇Pまで一気に決まります。なぜなら、
■eが主機能→1文字目はE
Nが強い →2文字目はN
Nが外向(e) →4文字目はP
だからです。あとはT⇆F (より厳密に言えばTi⇆Fi)を考えれば十分。「え~この人は外向的(E)で直観的(N)で…あと決断づけようとはしてないからPかな」という脳内処理は飛ばせます。
また例えば、「あ、この人Ti主機能だな」となった時点で、I〇TPまで一気に決まります。なぜなら、
■iが主機能→1文字目はI
Tが強い →3文字目はT
〇が外向(e) →4文字目はP
だからです。つまり、主機能が決まれば4文字中3文字は即決定です。MBTIの4文字分類だけでなく、主機能ー補助機能を見抜くことで4文字を決定しに行く視点があれば、よりタイプ判定の精度が上がります。そして、8つの心理機能を見抜く力が上がれば上がるほど、その精度は高まります。つまり心理機能の理解を深めることが肝心です。
次回の記事は、8心理機能モデルへの拡張と「影」に関する考察です。
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