Curry Junkyな彼がメキシコも南インドもありつけなかった話
彼はその日、京都で1日お休みをいただいていた。
前日大阪での仕事を終え、翌々日京都で打ち合わせやら仕事やらがあるまでの束の間の一日DAY OFF。
一日京都で過ごす、を食べ尽くすため、朝のうちに大阪から京都にやってきた
夜は南インド料理店で仕事仲間数人と会食する予定があった。
彼はその会食をとても楽しみにしていた。
仕事仲間の中でも南インド料理に詳しい二人が絶賛する店。タルカ2
たまたま出張先で夜、食べに行けるチャンスはなかなかやってこない。
ところが彼はついにその店に行き着くことはなかった。
まず朝の話(キーケースとの離別)
大阪から在来線で京都に向かう道すがら、彼は昼ごはんの計画をたてていた。
和風ビリヤニの名店か、メキシコ料理専門店か悩んだ末、タコスに軍配が上がる。
夜は南インド🇮🇳だしな。昼はトルティーヤ🌮で決まりでしょ。
昼食はタコスをキメることを決めた彼は、目星をつけたメキシコ料理店までのルート検索をしながら、キーケースをバッグから外した。
彼は1週間の出張中だったので重めのスーツケースを転がしながら移動していた。スーツケースと、バッグは、とりあえずホテルのフロントにチェックイン時間まで預けよう。
キーケースは、手持ちした方がいいな。
そのキーケースには、
①自宅の鍵
②明日以降の新幹線チケット(3万円相当)
③AirTag
が入っている。
このAirTagが後ほどいい仕事をすることになるのだが、彼は当然そのことをまだ知らない。
結果を言ってしまうと
外したキーケースのカラビナをパンツのベルトループにつけようとして、何となく座席の上に置いてしまったようだ。
しかし昼のタコスに夢中な彼はそのままメニューを検索する。
昼からカルニータス食べたらテキーラ飲みたくなっちゃうな。
それとも名物らしいロティサリーチキンをコロナビールでやっつけるか。。。
もうその時点で彼の頭の中からはキーケースのことはすっかり失念している。
京都駅で降りた彼が、キーケースの紛失に気付いたのは改札を出てすぐの事だった。
昼の話(AirTagで追跡、後藤さんありがとう!)
あれ、キーケースがないぞ!!!
紛失に気付いた彼は慌ててiPhoneの探すアプリをたちあげて、AirTagを探す。
AirTagとはApple社のGPSのアレです
探すアプリ上ではキーケースという名前で忍者の顔のアイコンに設定されていた。
忍者くんはまだ京都駅にいた。線路上にいて、こっちをじっと見ている。顔のアイコンだから当たり前だ
しかしGPSには誤差(タイムラグ)があるから、その忍者くんを、電車の中に忘れてきたのか、電車から降りる時にホームで落っことしたのか、はたまた自分のバッグの中に仕舞い込んだのかわからない。彼はもう改札を通過していたから、安易に改札内に戻るのは避けたかった。
カバンの中を何度もひっくり返していると、探すアプリ上で忍者くんが移動をしていた。上りの滋賀方面へ。
やっぱり車内に忘れてきたんだ!!
彼は駅の忘れ物センターに飛び込んだ。時刻は11:30を少し過ぎていた。
ああっーーータコスランチがすでに始まっておる!!!ーーー。
彼が大阪駅から乗車して忍者くんを忘れてきた電車は10:23発の米原行き快速
その電車は終点には12:19に着くらしい。京都駅の忘れ物センターの愛想が良い係員さんは12:40分ごろ彼に電話をくれると言った
誰かに似てるな。。。この係員さん。。。誰だ誰だ?ちょっとモヤモヤする。
京都から米原まで一時間。往復2時間はもったいないけれど18:00現地集合のタルカ2には十分間に合う。
米原まで行ってきました、なんてよい話のネタができたな。くらいに思っていた。
今日彼が宿泊するホテルは線路挟んで駅の反対側に位置している。取り急ぎホテルに荷物を預けよう。ホテルに荷物を預けたら軽くご飯でも食べるか。。。。
タコスがだめなら何か京都ぽいものを食べたいと散々歩き回る。
空腹を全く感じていない。あ、いつもの七味山椒買わなきゃ。その時の彼にはたっぷり時間があった。
駅近くの蕎麦屋に入り、忍者くんの現在地を再探索する。
あれ?
忍者くんがこっちに近づいてきている。
現在時刻は12:20。もう米原についているはずなのに、米原より随分手前、京都寄りの線路上にいる。
誰かに拾われて持っていかれたのかな?
自宅の鍵は取り急ぎ困らないけれども。。。。。
新幹線チケットは3万円か、買い直しかぁ。。。。。痛い出費だな。。。
悲観的になる気持ちを抑えながら
何度か忍者くんの位置を読み込み直す。やはり奴は線路上にいて徐々にこちらに向かってきている。
やっときた蕎麦をかき込んで、京都駅忘れ物センターに再度向かう。
忘れ物センターの、愛想が良い係員さんに尋ねる。
「どうなっているんでしょ?米原じゃなくてこっちに向かっているんですけど」
どこかに問い合わせてくれている係員さんをじっと見つめる。
するとふいに、彼に対する既視感を邪魔していた雲がふっと消えた
お笑い芸人、四千頭身の後藤に似ているーーーーーー。
この感動すら覚える気づきに誰か共感して欲しいけど写真もないし無理だろな。
四千頭身に似た係員さん曰く、
忍者くんが乗った米原行き快速電車は米原まで辿り着かなかったらしい
架線トラブルで目的地に着かずに引き返したらしく、その時かけていた電話では行き先がわからないとのことだった。
実際には運行している以上、行き先は当然決まっているだろう。行先不明の電車なぞ、誰も乗ってくれない。ただ、京都忘れ物センターにいる彼と四千頭身似さんには、その電車の行き先を知る手段がなかったのだ。
四千頭身寄りの係員さんは
「分かりましたら連絡いたします」
と困ったように笑っていたが、ついに、四千頭身似さんから彼に電話が掛かってくることはなかった。
彼は居場所を駅ビルのコーヒーチェーンに移した。
駅近くにいればフットワークも軽くなる
アイスティーを頼んで隣の席のおばちゃんたちの会話を聞くともなしに聞きながらまたiPhoneの探すアプリを立ち上げて現在地チェックをする。
え!!!
13:18分現在、京都駅の線路上に忍者くん、いるやんか
2時間前、改札を出て最初に検索した時と同じように、忍者くんは静かにこっちを見ている。とりあえず、スクリーンショットを撮る。
今、その列車に飛び乗れば。。。。
もっとも駅に近いと思われる場所にいても、直線距離で数100mなのに、
阻むものが多くて(改札とか、通行人などだ)辿り着けないよな
そうこう考えている間に電車は発車してしまった。この世の無常とはこのことか?
さて
終点は大阪駅かな?遠くまでいかないと良いな。
もはや彼には行く先を見守るだけしかできなかった
1時間半の時が何もせずに流れた。
忍者くんは三ノ宮にしばらくとどまっていた
もう四千頭身さんからは連絡は一切ない。後藤くんに気持ちだけさよならしてJR西日本のお客様チャットサービスに繋げる。
チャットのおねいさんに乗車した電車と時間を伝えると程なくして、彼のキーケースに似た荷物を三ノ宮駅の改札で預かっていると教えてくれたトラブルがなければ対応は早いのだ。素晴らしい。COOL JAPAN。
ということで米原に行く予定が、三ノ宮に行くことになった。いや、そもそも京都でタコスランチが当初の目論見だった。
彼はホテルにチェックインだけしてすぐ三ノ宮方面へ。
京都駅ってところは線路を渡るアクセスがすこぶる悪いな。。。。ブツブツ一人ごちながら高槻へ向かい、高槻から阪急線に乗る。
ここでもJRから阪急に乗りかえる際に出口を間違えるなどの小トラブルに見舞われる。阪急百貨店と反対側に阪急駅があるとは!!!
池袋か?(注釈1)ここは!
しかも徒歩10分を甘く考えていた。知っているルートの徒歩10分とナビ検索もしていない知らない徒歩10分では体感がまるで違う。
乗り換え案内で最速だったはずの阪急線乗り換えは、時間的には失敗だった。
しかしながら高槻市は彼が生まれた街だったので、今となっては全く見覚えのない街並みを、何がしかの望郷の念を感じながら歩いた。
そして神戸。
JR三ノ宮駅中央改札口。
忍者くんは確かにそこいて、静かに彼を待っていた。
意外と簡易な手続きで忍者くんは彼の手元に戻ってきた
Air Tagがなければ今日中に彼の手元に戻ってくることはなかっただろう。
入れててよかった。
京都にとんぼ帰りして、そのままホテルでご就寝。
貴重な休日を半日京都駅で過ごし、2000円程度の無駄金と2時間の往復。
京都駅近くのホテルに戻ってきたら18:30。
タルカ2までは30分ほど。時間的に行けなくはなかった
でも彼にはそんな元気はなく、即座にビール飲み干して不貞寝したよね。
次の日、みんなに話す珍道中(盛ったバージョン)を考えながら。
といったところで彼が、自身のミスでメキシコも南インドも逃した話はここでおしまい。
もうミスるなよ!
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