Twitter発の"欲しい"をカタチに 印刷廃材再生プロジェクト「大喜利印刷」
PROJECT NOTE
全日本印刷工業組合連合会「大喜利印刷」
日本全国の印刷会社が連携するクリエイティブユニット「CMYK」のプロジェクトに参加しました。この取り組みは、Twitter上で発信された「欲しい」という声をきっかけに、印刷廃材を新たなプロダクトへと生まれ変わらせる挑戦です。
印刷業界が直面する市場縮小の課題に対し、中小企業主導で活性化を目指す実験的な試み。このプロジェクトでの経験は、デザインの可能性を広げるだけでなく、SNS上の声を直接取り入れるというユニークなアプローチの魅力を再発見する時間でもありました。
Twitterの声から生まれるプロダクト
このプロジェクトの面白さは、何と言ってもTwitterというSNSのリアルタイム性を活用している点です。「こんなものが欲しい」「あったらいいな」というつぶやきがアイデアの種となり、それが形になっていくプロセス。普段、消費者の声を商品企画に反映するのは難しいと思われがちですが、この取り組みではその壁を大胆に突破しました。
印象的だったのは、「5円で購入できるアイデア」というテーマ設定。消費者の視点に立った遊び心のある価格設定が、SNS上で大きな話題を呼びました。コストを抑えつつも価値を感じられるプロダクトを創るという挑戦は、クリエイターにとっても刺激的な課題でした。
廃材の再生から始まるクリエイティブ
「CMYK」のもう一つの特徴は、印刷廃材の活用です。印刷業界では大量の端材や廃材が日常的に発生していますが、それをただ廃棄するのではなく、新たな価値を生み出す素材として捉え直す発想。この視点の転換が、プロジェクト全体にクリエイティブなエネルギーをもたらしました。
廃材の持つ質感や形状を活かし、プロダクトとして昇華させるプロセスは、リサイクルを超えた「アップサイクル」の精神そのもの。特に印刷特有の発色や素材感を活かしたデザインが、印刷廃材ならではの魅力を強調しています。
プロジェクトの広がりとPR活動
私はこのプロジェクトをリードするKonelの外部メンバーとしてPR活動やプランニングを担当しました。SNS上での反響を基にプロダクトの魅力を発信することで、プロジェクトの認知を広げる役割を担いました。
SNSでのプロモーションでは、Twitterのユーザーとの距離感を意識しました。「欲しい」の声を直接聞き、それに応える形で製品を開発する姿勢が、共感を呼びます。さらに、製品の開発過程をタイムリーに共有することで、参加型のプロジェクトとしての一体感を演出しました。
また、"5円"というコンセプトを軸に展開されたストーリーは、クリエイティブの可能性を示す好例となりました。この価格設定がもたらす親しみやすさと話題性が、SNSでの拡散力を高め、プロジェクト全体の注目度を引き上げました。
デザインと消費者の対話
今回のプロジェクトを通じて実感したのは、SNS上の声をデザインに反映することの可能性です。これまで一方通行で語られがちだったプロダクト開発のプロセスが、SNSを介することで双方向のコミュニケーションへと変わりました。
このアプローチの面白さは、消費者の本音をダイレクトに受け止められる点にあります。「これが欲しかった」「こういうものがあるといい」という声に耳を傾け、それを具体化していく作業は、デザインが持つ役割を再認識させてくれます。
印刷産業の未来を広げる挑戦
市場縮小が進む印刷業界において、今回の取り組みは新たな可能性を示しました。廃材という課題を新しい価値に変え、SNSを通じてユーザーと対話しながらプロダクトを生み出す。このプロセスは、単なる製品開発ではなく、印刷産業全体の未来を広げる挑戦です。
「CMYK」が目指すのは、単なる廃材活用ではなく、クリエイティブを通じた産業の活性化。そして、それを支えるのは、デザインが生み出す対話の力です。プロジェクトに参加することで、私自身もデザインの役割を深く見つめ直す機会となりました。
最後に
SNS上のつぶやきから始まり、印刷廃材を新たな価値に変えるこのプロジェクトは、デザインが人と人、そして産業を繋げる力を持つことを改めて実感させてくれました。
最後までお読みいただきありがとうございます。この挑戦が、読者の皆さまのものづくりやクリエイティブのヒントになれば幸いです。記事にスキをいただけると励みになります。また、X(@okunote_tokyo)のフォローもぜひ。これからも、新しい価値を探求するデザインをお届けしていきます。
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