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精度と信頼を可視化する。ウィルアンドデンターフェイス社サイトリニューアル

PROJECT NOTE
歯科用レセプトコンピューターシステム「ウィルアンドデンターフェイス」

ウェブサイトのリニューアルは、単なるデザインの刷新にとどまらず、企業の姿勢を視覚的に表現するプロセス でもあります。今回、ウィルアンドデンターフェイス社のWebリニューアルプロジェクトに携わる中で、私は「精度」と「信頼」をいかにデザインとして落とし込むかを探り続けました。

このプロジェクトでは、Webデザイン、リーフレット、新聞広告の3つのメディアを横断してブランディングを統一 し、企業の価値を最大限に引き出すことを目指しました。



医療×デザイン——情報を整理し、「見せる」ことの意味

歯科業界向けのレセプトコンピュータを開発・提供するウィルアンドデンターフェイス社。その事業領域は、専門性が高く、かつ「正確さ」が求められる分野です。

医療に関わるシステムは、ユーザー(歯科医師・スタッフ)にとって 使いやすく、直感的に理解できることが重要 です。しかし、技術的な情報が多くなると、専門知識がないと理解しづらくなり、情報過多になりがちです。

そこで、今回のデザインでは「視覚的な整理」を徹底し、テキストとビジュアルのバランスを最適化することに注力 しました。

例えば、ウェブサイトでは次のような工夫を取り入れています。

  • 余白を意図的に確保 し、視線誘導を明確に

  • アイコンや図解を活用 し、製品の特長を直感的に理解できる構成に

  • シンプルなカラーリング を採用し、プロフェッショナルな印象を強調

©︎ウィルアンドデンターフェイス

また、新聞広告やリーフレットにおいても、統一したビジュアルトーンを採用 し、異なるメディアでもブランドの一貫性を保ちました。


「信頼を感じるデザイン」とは?

医療業界におけるデザインは、「美しい」だけでは不十分です。特に、医療システムのような 「信頼感」が最優先される分野 では、デザインそのものが「安心感を伝える要素」となり得ます。

今回は、視覚的な信頼性を構築するために、次の3つの要素を軸にデザインを組み立てました。

1. シンプルでミニマルなUI

情報が多すぎると、読み手の負担が増します。特に歯科医師やスタッフが多忙な業務の合間に情報収集をすることを考えると、一目で要点が伝わることが必須 です。

そのため、過剰な装飾を削ぎ落とし、機能的な美しさを重視 しました。
「シンプルさ」と「分かりやすさ」は、一見すると相反する要素に見えますが、適切な情報設計を行えば両立できます。

2. タイポグラフィの選定

タイポグラフィは、デザインの印象を大きく左右します。今回は、視認性が高く、医療系のブランドと親和性のあるフォント を厳選しました。可読性を保ちつつ、洗練されたイメージを損なわないバランスを意識しました。

3. 配色とレイアウトの統一

ブルー系のカラーを基調に、ホワイトとグレーのトーンで整理 することで、視覚的な安心感を演出しました。これは、医療業界における「清潔感」や「正確さ」ともリンクする要素です。

リーフレットや新聞広告においても、同じカラーリング・フォントを用いることでブランドの一貫性を保ち、視認性を高めました。


マルチメディアでの一貫したブランド体験

今回のプロジェクトでは、Web・リーフレット・新聞広告と異なるメディアにおいても、一貫したブランド体験を構築 しました。異なるフォーマットの中でも、同じ「デザインの言語」を貫くこと は、ブランドの信頼性向上に直結します。

特に、新聞広告という 「紙媒体」 においては、デジタルとは異なる視点が求められました。新聞を手に取る人は、Webよりも「一瞬の視認性」に頼る傾向が強いため、文字数を抑え、視線を誘導するためのレイアウト設計 を重視しました。

©︎ウィルアンドデンターフェイス
©︎ウィルアンドデンターフェイス

一方、リーフレットでは、実際に手に取ったときの感触や紙の質感 も考慮しました。Webサイトでの視覚情報と、リーフレットでの「触れる」体験が相互補完し、ユーザーにより深くブランドを印象づけることを狙いました。


デザインがもたらす「安心感」

デザインの力は、単なる「見た目の美しさ」ではなく、企業が伝えたい価値を正しく届けるための手段 です。特に、ウィルアンドデンターフェイス社のような 医療系のプロダクトにおいては、安心感や信頼感を感じてもらうことが何より重要 でした。

そのために、情報設計の精度を高め、視覚的な統一感を持たせることで、ブランドの信頼性を強固なものにする ことを意識しました。

このプロジェクトを通じて、デザインがどのように「企業の信頼」を形にできるか を改めて考えさせられる機会となりました。

ウェブサイト、リーフレット、新聞広告と異なるメディアにまたがるデザインの統合を行うことで、より多くの人に価値を伝える仕組みが作れたと思います。

医療系のデザインに携わることは、ユーザーにとって「必要な情報」を整理し、それを「伝わる形」に落とし込むこと に他なりません。その難しさと奥深さを改めて感じながら、これからも「情報とデザインの関係性」に向き合っていきたいと思います。

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