「さらば、神よ」は役に立つのか
原題は「Outgrowing God: A Beginner's Guide.」
「神を卒業する 初心者ガイド」となっている。
初心者ガイド…これはもう役に立つ前提で作られている。
本書は、聖書の創造論とダーウィンの進化論の二項対立構造になっていて
前半では「宗教のいかがわしさ」を説いて
後半では「科学こそ人類を前進させる」と説いている。
生粋の無神論者で、ムキムキの生物学者である著者リチャード・ドーキンスの初心者ガイドともいえる。
わたしは前半も後半もなく、はじめの1ページでビビビとやられてしまった。
誰に向けてこの本を書いたのかを記した1文。
込められた想いを自分なりに瞬時に空想してしまった。
まず、「自分で判断ができる」という点。
著者は、別の本〈神は妄想である〉の中で「第9章 子供の虐待と、宗教からの逃走」と、章立てするくらいには、宗教が子供に与える被害について問題視しており、
〈さらば、神よ〉を通じて、親や地域や人種で強引に決定付けられた信仰があるなら、それはお別れしなさい。と諭しているようだ。
そして、「若者へ」という点。
知の巨人ドーキンスの本はいつだって、わたしには難しい。
彼の宗教批判について触れるには、まずもって一神教へのベース理解や、神学者の見解などを追わなくてはならない。
彼の遺伝子についての考察を理解するには、メンデル遺伝子学やダーウィニズムの基礎知識も必要だ。
彼の書く本はエキサイティングだけど、疲れてしまう。
しかし、〈さらば、神よ〉は一文目からドーキンスがグッと目線を落として、「フランクに話しましょう。」というサービス精神を感じた。ビビビだ。
そんなサービス本の内容を大掴みでまとめてみると以下のようなことが書かれていた。
先人たちの科学的アプローチによって、世界の形が少しずつわかってきたこと。
神様〈デザイナー〉によって、この世界がトップダウンにデザインされているというのは思考停止すぎる。
現在科学では解明できていないことについては、バトンを託した。
グゥの声も出ない、良識に満ちたgood book👏
ドーキンスが見据えたターゲットに届くといいですね。
ちなみに↓〈神のいない世界の歩き方: 「科学的思考」入門〉は、
〈さらば、神よ〉と同じ内容のタイトル違いなので気をつけたい。
本題である“わたし”に役に立つか?
と言われたら、むかしからブラックサバス派だ。
本書で信仰がゆらぐことはなさそうだ。
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