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ざわざわ。


あれは、嘘だ。そんな簡単なわけがない。
と、いう否定。

「……」

ただ、そこに、僕のモヤモヤの解決が見えていなかったということ。
ただ、それだけ。
だから、わざわざ「嘘だ」とは言わない。

だけど、「嘘だ」とは思う。

嘘っていうのはなんだろう?
心の奥底の、深い深いところで、どうしようもなく寂しくて、もう、どうにもならないという諦めの中、なんとか折り合いをつけていく時間の中で、確実に取り残されてしまっているもの。それを見ない振りをしているものに対し、「嘘」と思う。

僕は、その深い場所へ行って、どうしようもない寂しさに震えている「何か」を抱きしめてあげたい。
一緒に泣いて、そして出来れば笑いたい。励ましたい。

そんなことをいつも思っている。

「つまんないな……」
と、奥底の「何か」が呟く。
僕は黙って同意する。

ざわざわ。ざわざわ。
と、音が聴こえる。

たぶん、僕にだけ聴こえる。



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奥田庵 okuda-an
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