認知症に対する考え方
僕がこの業界に入ったのは祖父が認知症を発症したことがきっかけです。
介護業界13年目の僕が感じてきた認知症に関する僕のリアルなお話を書きます。
認知症って何?
認知症は実は物忘れやから必要以上に怖がる病気じゃないと思っています。
いろんな種類の認知症があり、そういったことも勉強していますが、今回は僕が携わった認知症にかかわるリアルなお話を記事として書きたいと思います。
予防ではなく『備え』
テレビやネットでネガティブキャンペーンが敷かれて『予防、予防』って言われ、認知症になったら人生おしまいのように言われています。
でも実際は、認知症の方の周りと本人さんの『備え』と『正しい理解』で、いくらかは普通の暮らしと変わりない時間を多く過ごすこともできます。
家族や周りの『備え』って言うのは簡単に言うと「昨日何食べたっけ?」って本人に思い出させることよりも「今晩、何食べよっか」って未来の希望を言える事。
認知症は普段の暮らしの中で場所や事柄を覚えられてない自分に不安がいっぱいになることがあります。それをぶり返すんではなくて、わかる領域を一緒に共有することが生きる自信になることがあります。
相手の立場に立ち、どう感じているのか?どう思っているのか?を知ることによって本人さんの気持ちが満たされることがあります。
そして本人さんは、否定され続けると次は精神的にキツくなる。そうなると認知症より大変。
また、家族さんや他人から『認知症に良い食べ物、サプリ』を押し付けられることもつらいと言われる場面もあります。
他人が良かれと思ってしてくれることに、本人さんは否定しにくいです。
世の中には根拠のない『認知症に良いもの』が出回っています。
本人さんが美味しく食べられるものであればよいと思いますが、無理に食べるものであれば誰が得をするわけでもないものを続けることになります。
本人さんが美味しいと思えるもの、食べたいと思えるものを一緒に食したり、会話したり…。『楽しい時間を共有する』これが大切と考えています。
本人の『備え』って言うのは、自分が「困っていること」を言えること。
これは難しいですが、忘れた時やわからんくなったときに、「認知症なので、わからんくなったから教えて」って人に頼れるかどうか。ということだそうです。
これは若年性認知症の当事者の丹野さんの言葉ですので、当事者でない僕が言えることではないのであくまで自分が認知症になった時の参考にしているという思いで書きました。
そして丹野さんの言葉を借りると「認知症なので教えて」と言うことで助けてくれる人が沢山いると言われていました。
世の中自分をさらけ出すことで助けてくれる人が沢山いると…
そして人のやさしさに触れ人の魅力を感じられたと丹野さんはお話ししてくれました。
認知症と水分量
高齢者の場合は水分量も大切になってきます。
心臓に病気がなければ、いつもより100〜200ccだけ飲む量を増やすだけで、認知機能の向上が見られる人も…
水分が増えると血行が良くなり脳に血液が循環しやすくなるという事だそうです。
これは僕も施設で経験してることなんですが、水分量が増えることで、脱水症状的な、妄想や、せん妄(無いものが見える)がなくなり、現実が認識できるようになることもあります。
高齢者は水分摂取を拒む方もおられますが、その方に応じて、少しでも水分摂取量を増やすことで本人にとっての見え方が変わることがあると感じています。
認知症の病院受診と薬
認知症の人は何もわからん人って偏見が世間に広まってるので、薬を他者が調整しようとするんですが、1番わかってるのはやっぱり本人です。ですので、その人の体調に合わせて薬を決めていくことが大切と考えています。
専門医に診てもらうのはいいんですが、大切なのは本人の身体です。薬飲み始めて本人が寝れなくなったり、日中の調子が悪くなったりすことが多々あります。そうなると、今度は精神的な病気が誘発されることもあるように思います。
その場合はもう一回病院へ行ったほうがいいと思います。
認知症の薬の調整は難しく、本人の意見をしっかり聞きながら調整することが大切です。
認知症はその病気が『問題行動』を起こさせることよりも薬の副作用で起きてしまうことも結構あると思います。
そしてしばらく調子が良くても、数年後、攻撃的になられることもあります。
その際も薬の影響がある場面があります。
認知症の薬のアリセプト、ドネペジルを止めるとで攻撃的な行動が無くなる場面を何度も目にしています。
こちらも専門の医師の診断が必要と思いますので、信頼できる先生と本人の思いやお話しを聞きながら、一緒にお薬の調整をすることが大切です。
村瀬孝生さん(宅老所よりあい)とのお話にて
認知症と言う言葉が出来て老化、呆け、では無くなり病気となってしまった。
自然の中の経過を、病気にすることによって認知症を中心に物事を考える世の中になってしまいました。
認知症の○○さんと言うように考えるようになった。
なんて話を聞かせてもらう機会がありました。
施設で、あなたの横でみかんを皮ごと食べる人がいたらすぐに「剥きましょうか?」と手を出してしまいませんか?
でも横で上司が同じことしたら
えっ( ゚д゚) から始まり
→様子を見て
→食べ終わるまで待って
→その場を離れて違う人に会った時そのエピソードを話す
と言うプロセスがありますよね?
でもすぐ手を出すことが、要介護者、認知症の当事者として関わって無いですか?
って話にすごく感銘を受けました。
自分と祖父のエピソード
僕と認知症の出会いは祖父だったので、祖父が認知症になったと言う現実から始まりましたので理由はよくわかります。
家にいる時「家行く!」と言って一緒に家を出て、浜へ歩いて行き、船を見ていつも歩いた景色を見て帰ってきたら同じ場所でも『家』になったことがありました。
それって問題行動をなんとかしようと思った訳ではなく、祖父がどうすれば家ってわかってくれるかな?って考えて行動しただけなんです。
『認知症だから』とか関係なくて、『その人と』どうすると良いかを考えて行動する。
ただそれだけで、『問題行動』とされる行動は減ったり無くなったりすることは多いんです。
丹野智文さん
認知症の当事者として講演活動を行ってる方です。
僕たちの施設もこの方に来ていただきました。
丹野さんのお話は当事者からのお話ですので本当に説得力がありました。
そしてそのことをも前向きに捉えておられ、その生き方は、自分にとってかけがえのないものを教えてくれました。
『備え』のお話は丹野さんのお言葉です。
この本はとてもわかりやすく認知症を真正面から捉えて、歪みもなく、どうすることが認知症になっても笑顔で生きれるかが書いてあります。
介護や認知症の方に関わる方は是非一度読んでみて頂きたい書物です。
今回の記事を発信することになった経緯
実はこのやりとりは昔の友達の祖母が認知症の疑いがあるとの相談を受け、自分なりの返事をしたところ、その内容を人に知ってもらった方がいい!とアドバイスをもらったので公表してみました。
この記事は認知症で困ってる人や認知症の勉強をしたい人、認知症の方と関わる人達に広く知ってもらいたいので、全文無料で掲載させて戴いております。
もし価値があると感じで頂ければ購入していただけると幸いです。いや、そこまででないけどまぁよかったなと思っていただければスキやフォローだけでもうれしいです。
認知症で困ることが少しでも減らせることができればと考えています。
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