母の格言
うちの母は極めてステレオタイプで俗物な人間だ。
幼き頃から母に唱えられていたフレーズがある。
その、母独自の格言の様な物を私はだいぶ大人になるまで心のどこかで信じてた。気がする。
曰く
胸の大きい女は頭が悪い
曰く
足の大きい女は頭が悪い
曰く
運動が出来る人間は頭が悪い
曰く
背の高い人は頭が悪い
曰く
背の小さい男は中身が詰まってる
曰く・・・
子供の時、母独自の格言(の様な物)を耳にするたびに、半ば信じそうになりながら、なんて俗物なんだと、人をカテゴライズして貶めて差別して、ひどい。と思っていた。そう、思っていた。そう母をカテゴライズしていた。
しかし、恥ずかしながら本当に最近、はたと気が付いた事がある。
以下が彼女の(彼女を軸とした)家族である。
なるほど本人(母)は、胸は微、足は小、運動神経は微妙、頭は良。
夫:低身長、足は小、運動神経は悪、頭は良。
息子:低身長、足は小、運動神経は微妙、頭良。
娘(私):胸は微、低身長、足は小、運動神経は最悪、頭微妙
さてさて、彼女が唱えてきた数々の格言、これは母の母なりの優しさか?家族の慰めか何か、なのではないだろうか?
(と言うのもうちの男性群の低身長は、だいたい今皆さんが想像した身長−5㎝ぐらいだから、そんじょそこらの低身長じゃないのだ。)
しかし、
ねえ、優しさ・・・わかりづらく無いですか?
そういえば、180ある私の夫に会うと母は、すごいわねーいいわねーと目をキラキラさせている。
そういえば、最近母は、胸が大きくなるブラをおニューで買ったのと嬉しそうにしていた。
そういえば、牛乳プリンが胸に良いと冷蔵庫に詰まっていた時期(私中2)が。
そういえば、牛乳で身長が伸びると、毎朝兄に飲ませて・・・
しかし、一方を取り成すために、他方を貶めるやり方は、もう本当になんだかなーといった感じ。
(もちろん、母は胸の大きな人にあったらあったで、またキラキラした目をしてすごいわねーと褒めるんだけど。)
私の母は、ステレオタイプで俗物な人間だ、不器用で、家族のことをとても愛している。
おわり。
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