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書活№371*ネガティブターンになった時に…。
「落ち込むんだったらどん底まで行きなさい」
とあるビジネス講座に参加してそんな言葉を放ったのはその講座の女性講師、おそらく小さい方だとは思うのですがとてもパワフルで舞台が狭く感じるほど体全体で説明してくれました。おまけに声がすこぶるいい、私好みのハスキーボイス。
その声に惚れ惚れしたのはもちろんのこと、エピソードトークのつかみから結までの流れが見事!そんな彼女が実は私と同じく事務員だったというのですから世の中はなんて面白いのでしょう。
最初の数分で心を鷲掴みされた私は、彼女のエピソードトークを耳も心も全開にして聞いていました。ビジネス講座を聞きに行ってるというのに大笑いしてるってなかなかないですよね。正直に言いますと、今まであくびを噛み殺していたイメージしかないんです…ビジネス講座って。
そんな彼女がふと失敗について語りました。失敗をどんどんすることで学びが広がる、けれど失敗すれば落ち込むのは当たり前…という話の流れで
「落ち込むんだったらどん底まで行きなさい」そう言いました。その瞬間、私は舞台上に駆け上がって握手を求めたくなりました。
私は、ポジティブとネガティブを同じ分量ずつ持ちあわせてると私をよく知る人たちは言うのですが、自分でもそう思うほどにパッキリ半分で別れてる人間です。ポジティブ側にいれば物事を能天気に考えられるのですが、ネガティブになると人と接触するのさえも億劫になってしまいます。
気力エネルギーというのでしょうか、そのエネルギータンクと言われるものが極端に小さく少ないのも関係しているのかもしれませんが、とにかくネガティブターンに入ると落ち込みます。落ち込んだらとことん落ち込むことにしたのです。
20代の頃、私は舞台役者をしていました。私が所属していた劇団は、1ヶ月間で稽古と本番を迎えます。大抵の演劇では考えられないほどに短いと言われていました。(さまざまな劇団の方曰く、稽古で2ヶ月程度要すると聞きました)
その間、日中は仕事をして夜稽古をする、芝居の話がしたくて終電まで飲み、また朝を迎えて仕事をします。本番近くになると劇団は日中も稽古になりますが、私は仕事をしてから稽古に向かってました。それから本番を複数ステージやります。終えた途端に虚無感が広がります。
つまり気力エネルギーが0どころか、マイナスになるのです。そうなると考えがネガティブターンになるので、世界でたった一人きりのような錯覚を起こしてしまいます。ネガティブというものは悪だと思っていた時期があるのですが、無理矢理にでもポジティブになろうとして「空元気」を演じていたところネガティブターンが長引いたことがありました。
それが次の芝居期間に入りそうになった時、その時の私の思考は「どうせ私なんかいてもいなくても同じだ…」という言葉に支配されて新しい芝居どころではなくなってしまったのです。
所属劇団は、出演する決定権を持たせてもらっていたので、その時は手伝いの方へ回りました。出演を見合わせたのは私なのにやっぱり落ち込んでしまいました。
ふと、無理をしてポジティブ思考を繰り返していたことに気づきそれならとことんまで落ち込んでやろうと決めて落ちました。落ちるために夢野久作「ドグラマグラ」や丸尾末広作品などを読み、どっぷりアングラの世界浸りきりました。
ある日、ゴツんと音が鳴ったような感覚になったと思ったら気持ちが浮上したのです。まるでプールの底について思いっきり蹴った時のような感覚。その浮上スピードの速いこと!
それ以来、私はネガティブターンになったと思ったらとことん落ち込もうと決めてます。誰にも言ったことのないこの考えを好きになりかけてた講師が
「落ち込むんだったらどん底まで行きなさい」
なんて言うんですもの、そりゃ好きになっちゃいます。私の好きな講師もいうのですから、落ち込んだらどん底までを合言葉に、次に落ち込むことがあればどん底ツアーをしてこようと思います。
余談ですが、ネガティブターン時の夢野久作や丸尾末広はかなり媚薬でもありますが強烈ですのであまりおすすめいたしません。
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