『スカイフック』第3話 夜間飛行
サムエル・ロバートC軍曹は祈った。
今までの犯した罪を懺悔した。神に許してもらうためにひたすら祈った。これからは、正しい人間になると誓った。そして最後に無事に帰還できるように祈願した。
今日は、彼にとって初めての経験なのだ。彼の目の前には、他の爆撃機は見えない。つまり、『teaser』は今回の爆撃機の249機の中の最後尾を飛んでいるのだ。
「テール」の中でも、最悪の「テール」だ。追撃されるのを見られることはあっても、見ることはできない最悪のポジションである。
高度が安定すると、機長のシャフラツ・ポール中尉のチェックが始まる。
作戦中は、操縦室とそれ以外の行き来ができないようになっているが、機内全員が無線で繫がっているので、チェックの様子が手に取るように分かる。
操縦室の中のチェックが一通り終わると、外のいるガンマン4人に回ってくる。夜間攻撃の場合、ほとんど彼らの出番はない。それなので、ちゃんと配備についているのか確認する程度で終わる。
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