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龍馬が月夜に翔んだ

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2024年12月の記事一覧

短編小説『初めての暗殺』

短編小説『初めての暗殺』

「抜刀」

隊長の大石鍬次郎の号令がかかる。

新選組平隊士の廣瀬は無意識に鯉口を斬った。

ずっと訓練を重ねていたおかげで自然に体が反応した。

今までの震えが嘘のように止まった。

いつも稽古で教えられているようにゆっくりと刀を抜く。

刀身が妥協を許さない現実の光を放ちながら弧を描いて、あらかじめ決められた終着点かように正面で止める。

正眼の構えを取る。

刀身が目の前で妥協の許さない直線

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