本能には勝てない!(『宮本武蔵はこう戦った』より)
「恐ろしい」
武蔵は、全身が強張って身動きが出来なくなってしまった。
小次郎は、目の前で見た「つばめ返し」の技を私との試合に使うに違いない。
彼は、私の太刀よりはるかに長い太刀で、遠い間合いから攻撃をしかけてくる。
相手が、遠い距離から仕掛けてこられると、こちらでは、明らかに届かないと分かっていても、今までに経験したことのない長さの太刀であることが頭に刷り込まれているので体が勝手に反応してしまう。
経験値のないものに対して、脳の指令が過剰に発せら、防衛本能が働いてし