『スカイフック』第9話 軍隊の本質
「命中」
射手が思わず叫んだ。他の班員からも、叫び声を上げて飛び上がらんばかりになった。米田上等兵だけが表情を変えずに、また手帳に何やら書き込んでいる。口をぎゅっと締め、首を傾げ納得のいかない様子であった。
尾翼を鶏の鶏冠のように歪になったB29は、あろうことか狂った老牛のように尻を振りながら糞をするように、爆弾を投下し始めた。こちらに向かってくると思えば、遠く東山の方へ向かい、その間にも爆弾を撒き散らす。東山には米田上等兵が勤務していた高校があった。付近にも、生徒の家が