【地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島 志布志市地域おこし協力隊OB 田川貴雄 】
『地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島』(以下:サポーターズ)について知ってもらうにあたり、昨年度はメンバーや活動紹介を毎月行ってきました。今年度からは現役の地域おこし協力隊(以下:協力隊)やOBOGの皆さんの背景にも迫っていきたいと思います。
第10弾の記事はこちら。
今回は志布志市地域おこし協力隊OBで『志布志市移住・交流支援センターEsplanade』の田川貴雄さんの想い(第1〜3章)について紹介していきます。
挑戦しやすいまちで想いを少しずつカタチに
田川:協力隊になる前は関西のベンチャー企業に勤めていまして、いずれは起業をしたいと考えていました。
その一方、“何をやりたいか”“どこでやるか?”といったことを決めていなかったので、環境を変えた方がいいのではと思ったんです。
そんな時、熊本地震が発生し、その直後に現地へ友人とボランティアに行くことにしました。
その際、宮崎や鹿児島も巡ったのですが、九州だと博多までしか行ったことがなかった私にとって今まで触れたことのない空気感があり、それがとても印象に残ったんです。
起業にプラスして、地方移住をしたい気持ちも強まり、本格的に情報収集を始めることにしました。そこで目に留まったのが協力隊の制度と志布志市だったんです。
田川:決め手になったのは志布志が大阪とフェリーで繋がっていて、観光面やビジネス面で挑戦しやすいのではと感じたからでした。
さらに、行政や地元の皆さんが様々なことに取り組まれていて、その気持ちと姿勢から「面白いまちだ!」と感じたんです。
協力隊になってからは、業務以外の時間も利用して、まちの皆さんと交流を重ねていきました。その中の1つに協力隊の仲間と結成したバンドがありまして。
素人集団であったのですが、皆さん喜んでくださり、高齢者施設や地域行事に声をかけていただき、多くの場で演奏させてもらいました。
自分たちが必要とされている喜びを感じつつ、少しずつバンド以外の活動範囲も広げていきました。
橋渡し役として、できることを
田川:任期後の仕事もそうですが、橋渡し的な役割を担うことが多かったです。例えば、協力隊同士のミーティングで出た内容を整理し、それを行政側に共有したり。
もちろん、逆の流れも行うことで、行政と協力隊同士の翻訳家として動くことができ、1つ1つのことをスムーズにこなせる流れは作れたかなと思っています。
お互いの意見や想いがある中で、それがうまく伝わっていないのではないか。情報整理できていないのではないか。そのように感じ、ミッションをこなして中で自分なりに見出した役割でした。
担当部署の皆さんも理解がありましたし、協力隊メンバーもモチベーションが高い人ばかりだったので3年間気持ちよく仕事ができました。
田川:実は、任期3年目に民泊事業としてゲストハウスを開業しました。修学旅行の学生さんや旅人、家族連れ等が宿泊してくださり、ビジネスや観光以外の視点で志布志に滞在する機会が少しでも増えたかと思います。
場所貸しも行っておりまして、交流会や私自身が得意としているヨガ教室を開催したりと、まちの人同士の交流のきっかけも生まれたと実感しています。
昨年は、以前宿泊されたお客様が家族の出産祝いとしてプレゼントを送ってくださる嬉しい出来事もありました。
私はあくまで、繋がる一連の中で切り込んでいくだけです。そこから色々な人が自然に繋がっていくのを見るとやりがいを感じますし、それが私のモットーだと思っています。
義理を果たしながら、仲間と一緒に
田川:”義理を果たす“。それは私が信条としていることです。だから、自分のことを可愛がってくれたり、お世話になったりした方にはベスト以上の動きで応えるようにしています。
志布志の協力隊だった仲間の中には任期後は市外で生活している人もいます。だからといって、それで縁が途切れるとかではなく、一緒に頑張ってきた大切な仲間として関係を続けていきたい。そう思っています。
私は任期後もありがたいことに、地元や移住者の皆さんのサポートもあり『志布志市移住・交流支援センターEsplanade』(以下:Esplanade)を開設することができました。
ここを拠点に、私なりにできることを仲間と一緒にカタチにしながら志布志の皆さんに恩返しをしていきたいです。
田川:Esplanadeで一緒に働く人を私は“クルー”と呼んでいます。縦割ではなく、のびのびと楽しく働きながら、志布志のモノ・ヒト・コトを繋いでいきたい想いがあるからです。
そして、それは志布志だけではなく、周辺エリアや県内の協力隊の皆さんに対しても同じように考えています。
例えば、情報発信やデザインといったお仕事が副業で受けられるなら一緒にお仕事として関われるかもしれませんし、何かしらモノづくりができるならEsplanadeでワークショップもできるかもしれません。
まずは、目と目を合わせて対話をし、その上で私に何ができるのか?一緒にできることはないか?そこを翻訳し、様々なカタチで繋がっていけたら嬉しいです。
(終わり)