居場所を運営してきて思うこと
私自身、不登校の子どもを育てる親として、日々悩みながら、時には間違えながら、何とか一日一日を過ごしてきました。
だからこそ、「こうしたら再登校できますよ!」とか、「この時期には次のステップに進めますよ!」といった、明確な『答え』や『時期』をお伝えすることはできません。
正確に言うと、その『答え』や『時期』は、一人ひとりの子どもによって違うのだということが、我が子や「おこのみ会」の子どもたちを見ていて、少しずつ実感として分かってきたのです。
ですから、子どもたち一人ひとりの『答え』や『時期』は分かりません。
ただ、「おこのみ会」の子どもたちを見守り続けてきた中で、「不登校の子どもと親がどうすれば次のステップに踏み出すための土台を作っていけるか」については、考えるところがあります。
安心安全の土台を作る
不登校の子どもたちはとても不安が強い傾向にあります。それは生まれ持ったものかもしれませんし、不登校になった理由に要因があるのかもしれません。
不登校の子どもたちの中にはその不安から家から出ること、自分の部屋から出ることもままならない子もいます。学校に行きたい、友達を作りたいと思っても、その不安が邪魔をして、前に進むことが出来なかったり、進んでも更に傷ついて心を病んでしまうこともあります。
大人でも安心安全が保証されていない場所に行くことは、とても苦痛で不安だということは想像できるかと思います。
まずは安心安全な環境を作ることが大切だと私は感じています。
では安心安全な環境とはどんな環境でしょうか?
お腹いっぱいご飯が食べられること、暴言暴力を振るわれないこと、ぐっすりと眠れること、心身ともに健康なこと。命の危機を感じる状況は当然ながら安心安全とは言えません。
また自分の意思が尊重されること、心が落ち着く場所で過ごせること、好きなことが出来ること、言いたいことが言えること。それも安心安全に繋がります。
安心安全な環境が整わない場合、学校に行きたい、人と会いたい、勉強したい、体を動かしたいなどの活動的な行動に繋がる欲求は生まれにくいのです。
学校に行かない選択をした子が家にこもるのは、本能的に自分の安心安全を確保しようとしているのだと感じています。
よく家が居心地良すぎるから、学校に行かなくなるんだと言われる方がいらっしゃいますが、それは大きな間違いだと思います。学校がその子にとっての安心安全を守れない場所だから、安心安全な家にいたいと思うのです。それは当然のことあり、子どもたちの心を守るにはとても大切なことです。
また家では伸び伸びと過ごせているのに、なかなか外に出ていけないと悩まれる方も多いと思います。安心安全という感覚が心の中に育つにはとても長い時間がかかる場合があると、おこのみ会でたくさんの子供達を見ていて感じます。
この時間は年齢で決まるものでもありませんし、何をどこまでやったらそれで大丈夫と言えるものでもありません。大人であっても安心安全という感覚がなかなか身につかず、苦しい思いをされている方も多いと思います。
同じ環境で育っても、幼少期からどんどん外で活動的に動ける子もいれば、何度も何度も石橋を叩いて、自分で橋を崩してしまって、橋をまた積み上げるのに時間がかかるような子もいます。
後者の場合、親は本当に大変です。愛情を注いでも注いでも満足しない。大丈夫だよと何度言っても不安がって一歩踏み出せない。自分の子育てが悪いのかと不安にもなります。私もそうでした。
それでも安心安全の感覚が育つまで、じっくりと時間をかけて環境を整え、愛情を注ぎ、見守っていくしか親は出来ないのです。
※安心安全の土台を作るのが、なぜ大切なのかについては、また今後詳しく
取り上げていこうと思います。
おこのみ会の役割
しかし、それを親子が孤立した状態で続けるのは、とても苦しく辛い日々になるかもしれません。
「親には無償の愛がある」と言いますが、それはいつでもどんな状態でも無限に湧いてくるものではないと私は思います。親自身が自分を大切にできる時間やお金、頼れる人、自分が人から大切にされているという実感がないと、時に子どもに注ぐ愛情が枯渇してしまうこともあります。
「おこのみ会」は、そんな親御さんの居場所でもあります。「おこのみ会」には、同じ苦しみを経験した親子がたくさんいます。その苦しさを誰も否定しません。
親御さん同士が共に支え合いながら子育てができる場所でありたいと考えています。
また、子どもたちにとっても、安心・安全が育つ過程の中で、「誰かと関わりたい」と思ったときに通うことのできる安心・安全な居場所に「おこのみ会」がなれたらと思っています。
不登校で悩む親子にとって、安心・安全な場所、そして社会に向けて踏み出すための第一歩をサポートする場所であることを、「おこのみ会」は大切にしています。
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