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不登校の子どもの勉強への向き合い方

おこのみ会代表の国賀です。
私は愛知県安城市で不登校の小中学生と親の居場所『おこのみ会』を運営しています。

不登校の子を育てる親御さんと話をする機会が多いですが、自宅で学校の学習と同程度の勉強を行えている子は本当に少ないと感じています。

全く勉強は受け付けないという子も珍しくありません。勉強が苦手なことが不登校の一因となっているケースも多いようです。

そんな子どもたちが自宅で勉強をすることが難しいことであることは容易に想像できます。

今回は不登校の子どもたちの勉強とどう向き合っていくのかを考えてみたいと思います。


1. 「勉強」への捉え方を見直す

不登校の子どもたちにとって、「勉強」という言葉がプレッシャーや嫌な記憶と結びついている場合があります。そのため、まずは「勉強=楽しくない」という思い込みを和らげることが大切です。

  • 日常生活を「学び」として考える
    勉強ではなく、日常生活での「学び」に目を向けます。たとえば、料理を通じて計量や科学的な変化を学ぶ、ゲームを通じて計算や英語を取り入れるなど、学びの幅を広げることができます。無理に学びの機会を作らなくても子どもたちは自分に必要なことは自然に学んでいるとも言えますね。

  • 興味を優先する
    子どもの興味や得意なことを出発点にします。例えば、恐竜好きな子なら図鑑を読みながら学ぶ、ゲーム好きならゲームデザインやプログラミングを学ぶきっかけにするのも良い方法です。せっかく時間があるのですから、好きなことをとことん掘り下げてみたり、興味のある場所に一緒に出かけて親御さんも楽しんでしまうのも良いですね!


2. 目標を小さく設定する

不登校の子どもたちにとって、学校と同じペースで学ぶことを目指すのは大きな負担です。小さな成功体験を積み重ねることで、「自分にもできる」と思えるようにするのが重要です。
具体例:

  • 1日5分の学習から始める
    短い時間でもいいので、毎日取り組む習慣をつけることが大切です。一度にたくさんの課題に取り組んで嫌になってしまうよりも一日一問でも構わないから、苦手意識を植え付けないことのほうが、長い目で見ればその子の学習意欲に繋がります。

  • 1つの課題に集中する
    全ての教科を均等に進めようとするのではなく、興味のある科目や得意な分野から取り組むのも効果的です。せっかく学校と離れているのですから、今学校でこれを学んでいるから、何年生だからということに囚われず、自分のペースで自分にあったやり方で学べればいいと思います。

  • 達成可能なゴールを設定
    例えば「漢字を1文字覚える」「計算問題を1問解く」など、達成しやすい目標を設定して褒めることが大切です。スモールステップを子ども自身が実感できるといいですね。


3. 学習環境を整える

家の中での学習環境も、子どもが学ぶ意欲を持つためには重要です。無理に机に向かわせる必要はありませんが、リラックスしながら集中できる環境を整えます。
ヒント:

  • 気が散りやすい子はなるべく物の少ない場所を勉強スペースとするのも良いかと思います。

  • デジタル教材やゲーム感覚で学べるアプリを活用する。字を書くということに抵抗がある子もいます。書けることも重要ですが、ひとまずそこは置いておいて、解き方を理解する、答えがわかればOKなど柔軟な勉強スタイルを認める。

  • 保護者も一緒に取り組むことで安心感を与える。


4. 外部にお願いする
家の中で親が勉強を教えることはとても負担が大きく、親子の関係性の悪化に繋がることもあります。
勉強を教えてくれる外部の人や団体との繋がりを作ることも選択肢の一つです。
ヒント:

  • 適応指導教室やフリースクール、学習支援を行っている団体を探す。

  • 放課後デイサービスで学習支援を行っている事業所を探す。

  • 通うのが難しい場合は家庭教師やオンライン学習支援などを利用する


5.「今は勉強しない」選択肢もOK

「今は勉強が無理」という子どもに、無理強いしてしまうと親子ともに辛くなることがあります。勉強をしない時間を許容し、子どもが「自分で学びたい」と思えるようになるのを待つのも1つの手段です。
年齢が上がっていけば、それだけ記憶力や理解力もついてきます。今理解するのが難しいことも、数年後にはもっと楽に理解することができるようになる可能性もあります。
成長を待つ、心身の健康面が安定するまで待つというのも、遠回りのようで、案外最短ルートとなる場合もあるのではないでしょうか。
支援例:

  • 休息を取る。家で好きなことを楽しむ。

  • 子どもが興味を持てるものを親子で楽しむ。

  • 子どもが興味を持てる外部の居場所やフリースクール、習い事に通って勉強外の経験を積む。


6. 親もサポートを受ける

親が全ての役割を担おうとすると、心身の負担が大きくなりがちです。また勉強しない子どもの姿を受け入れることも大きな葛藤が生まれます。
地域の支援団体や親の会を活用して、同じ境遇の方と情報を共有し、無理のない範囲でサポートを続けることが大切です。



不登校の息子と勉強

参考程度に我が家の話を少しすると、息子は小1で不登校になったので、ひらがなの読み書きも、足し算引き算も難しいような状況でした。

当然勉強をすること自体への抵抗感は大きく、プリント一枚やるのにも泣き叫んで大騒ぎという状態でした。今思えば勉強は一切させずに様子を見たほうが良かったのかもしれませんが、当時の私は全く勉強をしないことが不安で仕方がなく、少しずつでもいいから勉強をしてほしいと思っていました。

なので「この問題を解いたら、ゲーム1時間やってもいいよ」などの約束を決め、本当に少しずつですが、勉強を進めていました。

しかし、結果としては嫌々勉強をしているだけなので、理解には繋がらず、成果はあまり出ませんでした。
勉強嫌いに拍車をかけてしまったからもしれないという反省もありますが、勉強習慣を完全に切らさずに済んだことで、その後の進路に繋がったかもという気持ちもあり、一概に勉強させてよかったともさせない方がよかったとも、いまだに答えはでません。

その後、息子は時間をかけ適応指導教室で学び、現在は学びの多様化学校と家庭教師を活用し、学習を続けています。

勉強嫌いは相変わらずではありますが、以前よりも抵抗感は薄れ、授業も受けて自分に必要だと感じる勉強はしているようです。

どうしても遅れはありますし、苦戦もしていますが、そこは息子自身が向き合うべき問題なので、今は一歩引いてサポートをしています。

今後進路の問題とも対峙することとなるので、その時に息子がどう考え、どこまで勉強と向き合うのか、怖くもあり(笑)、楽しみでもあります。

まとめ

不登校の子どもにとって「勉強」は、それ自体がハードルになりがちです。しかし、焦らずに子どもが自分らしく学べる形を模索することで、少しずつ学びに向き合えるようになることもあります。

また子どもたちは遊びの中から自然と自分に必要な知識は学んでいくものです。学校の学習ペースを意識するよりも、子ども自身のペースを受け入れ、長い目で子どもの成長を捉えていくことが大切だと感じています。

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