「本日は、お日柄もよく」
20年来の友達が、原田マハさんの本にはまっている
と言っていて、「『本日は、お日柄もよく』は私の人生のバイブル!!」
とも言っていたので、満を持して読みました。
仕事について考え直していた私にピッタリの小説で
私の人生のバイブルにもなりました。
読み終わって、大きく変わったことは、言葉に対しての認識。
電車に乗っていて、広告のキャッチフレーズとかを
ついつい見てしまうし、どんな人がどんな思いを込めて考えたんだろうと
コピーライターの人まで想像してしまいます。
そして、スピーチライター。
スピーチとまではいかなくても、かしこまった場で話す時の一言目、
心を掴めるように、ワードチョイスや雰囲気を
私も意識するようになりました。
言葉が世界を変える。
それは魔法ではなくて、変えようという意志のある人々に
力をもった言葉は届くということを、この小説は教えてくれます。
「困難に向かい合ったとき、もうだめだ、
と思ったとき、想像してみるといい。
三時間後の君、涙がとまっている。二十四時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩き出している。
どうだい?そんなに難しいことじゃないだろ?だって人間は、そういうふうにできているんだ。」
「ほんとうに弱っている人には、誰かがただそばにいて抱きしめるだけで、
幾千の言葉の代わりになる。そして、ほんとうに歩き出そうとしている人には、誰かにかけてもらった言葉が何よりの励みになるんだな、って。」
スピーチライターに主人公がなるというストーリーで、
言葉の力をこれでもかというほど感じる小説でありながら、
言葉がいらない時もあるということを教えてくれて、
人間と言葉について考えさせられる一冊でもあります。
そして、登場人物が一人ひとり素敵。
久美さんや厚志くんのような、誰か大切な人を失って、
それでも前を向いている人は、本当に強くて輝いているなぁと
しみじみ思います。
現実を受け止め、乗り越え、私も強くなっていきたい。
辛い時には「本日は、お日柄もよく」きっと読み返すと思います。