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(ラ)
長かった撮影も、ようやく最終日を迎えた。
川で泥まみれになった小林氏の顔はやり切ったという安堵と疲労に満ちていた。彼の周りを取り囲むように人々が集まっていったが、お礼の言葉をまとめて述べながら控えの部屋のほうへするっと消えていった。
私はまだ裸足で川につかったまま、水面が太陽光を反射してチカチカとまたたくのを眺めていた。浸食でできた高い崖の上まで戻るのがすこし億劫だった。
その後ろを、親しい人たちと和やかに笑いながら片桐氏が通り過ぎる。
話しかけたいけれど、話しかけるような話題も特にない。
楽しそうで何よりです。もうお二人に会うこともないと思いますが、面白いお仕事でした。
「化石でもないかなぁ。」
隣で川底の石をひっくり返しながら誰かがつぶやく。
「あはは、いいね。探そう。」
引き伸ばした納豆の糸がすいっとちぎれるように、接点が消えるのをちょっと寂しいと思いながら、それより私には化石のほうが現実的だと足元の石を転がしてみた。
そこで目が覚めた。
ラーメンズは前にも夢に出てきたことがあったなぁ。
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