おはよう”良い子”ちゃん
遮光カーテンの隙間から、細く差し込む光。
目覚ましの鳴る前に目が覚める、朝のルーティーン。
横でお腹を出している子どものパジャマを直し、静かにキッチンに向かう。熱いコーヒーを淹れながら、家族が起きる前の静かな空気を堪能する。
ふと思う。
「良い子」とは何だろう?
大人の言う事を聞く、お手伝いをする、わがままを言わない?
子どもは「良い子」になろうとするが、それは「都合の良い子」ではないだろうか?小さな子どもにとっての良し悪しの考えは、親の決めたルールに沿ているかどうかなのかもしれない。
育児は難しい、自分ひとりの事も思い通りに進まないのに、もう一人分の時間も進めなくてはならない。どうしても「都合の良い子」に誘導してしまうのが実情だ。
「・・・おはよ」
冴えた頭で色々考えていると、寝ぼけ眼な子どもの起床。
着替えない、ご飯食べない、おもちゃで遊びたいとごねている。
さっきまでの澄んだ空気は何処へ?大きな声で動かない子どもの手を動かす。バタバタと慌ただしい音が部屋に広がり、やっとの旦那の起床。
「おはよう、いってきます」
「気をつけてね~」
夫婦の朝の会話はコレだけ。毎朝コレだけ。
毎日決まって繰り返す朝のルーティーン、今日も元気に家を出ていく妻と子どもを見送って、夜勤の私は2度寝に入る。
子育てに悩んでいる事、子どもに向き合っている事、そしてすくすく育つ子ども、同じような事を繰り返す毎日だけれども、しっかり前に進んでいるのだと、一歩引いたところからだと良く解る。
私が安心して仕事が出来るのも、そんな毎朝が必ず繰り返されているから。騒々しくも愛おしい朝のルーティーン。
おわり
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