国立西洋美術館「自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」感想
国立西洋美術館で開催されている
「自然と人のダイアローグ」を観に行きました。
2020年末から長期休館に入っていましたが、
リニューアル後初の展覧会で楽しみにしていました。
展覧会概要と訪問状況は下記の通りです。
【訪問状況】
日時:日曜日午後(東京藝術大学美術館からのはしごです。)
滞在時間:14:30~16:45
混雑状況:はっきり言って激混みでした。
展示室に入るまでに30分近く並び、
日時指定制の意味があるのかと思ってしまいました…。
感染症対策:入口で手指の消毒
写真撮影:一部を除き可
展示構成は下記の通りでした。
Ⅰ章 空を流れる時間
Ⅱ章 「彼方」への旅
Ⅲ章 光の建築
Ⅳ章 天と地の間、循環する時間
(改めて文字にすると詩的なタイトルですね。)
自然というと風景画を思い浮かべがちですが、
風景画をクローズアップするというより画家が
自然をどうとらえてきたかに焦点をあてたところが
本展の特徴かと思いました。ところどころに
画家の自然観を表した言葉が紹介されており、
どのように自然からインスピレーションを得たかが
感じられ興味深かったです。
Ⅰ章では画家が知覚した自然をいかに絵に
再現しようとしたかが示されていました。
海辺、朝靄などの一瞬の光景を切り取ったものが多く、
画家が観察と表現の両方を重視したことが感じられました。
中でもピサロの「ルーヴシエンヌの雪景色」は
冬の静謐な空気も伝わるような作品で美しかったです。
Ⅱ章は一転して自然への畏敬の念を感じるセクションでした。
特にフリードリヒの「夕日の前に立つ女性」が印象に残りました。
展覧会チラシで見て大型の絵を想像していたのですが、
小型の絵だったのが意外でした。壮大な自然賛美でなく、
むしろささやかな感動を込めた絵のかなと印象が変わりました。
このエリアはドイツ、北欧の画家の絵が多かったのですが、
フランス絵画の鮮やかさとはまた違う神秘性を感じました。
Ⅲ章では自然をより科学的に捉えようという
画家の探求心が感じられました。
レイセルベルヘの「ブローニュ=シュル=メールの月光」は
光の粒子のような点で表された月光が柔らかで美しく、
今回の展示で一番好きな作品となりました。
一方で続けて展示されていたシニャックの「サン=トロぺの港」は
ブロックを積み重ねるように長方形の点で描かれていて、
同じ点描でもアプローチの違いを感じました。
Ⅳ章は「庭」、「祭り」、「農耕」など、
人と自然がかかわる場面を描いた作品がとりあげられていました。
ゴッホの「刈り入れ」は解説によると
とのことです。その横に展示されているピサロの「収穫」は
仲間との作業の喜びにあふれた明るい絵で、
農作業という行為に対して画家が見出したものの
違いに多少のほろ苦さがありました。
上記のように作品と作品の対比で気づきがあるような
展示の工夫もなされていて、「自然と人のダイアローグ」という
タイトルの通り作品間の"対話"も楽しめる内容になっていました。
後から思い返すと色々発見があるような、
好奇心に訴えかける展覧会でした!
ところで国立西洋美術館は企画展のチケットで常設展も
観られるので(というか企画展のチケットは常設展の観覧料も込み)、
余力があれば常設展も観てきます。
毎回「○○展で見た△△の絵だ!」とか
「この時代にこんな絵があったのか」と思うような作品があったりと
新鮮な驚きがあり、国立西洋美術館の懐の深さを感じます。
ふらっと常設展を観に行くようになれば大人だな~と思ったります。
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