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チトカニウシ山

日程:2001年4月28日
メンバー:Fさん、ぼく

 Fさんと北見峠から大雪山にあるチトカニウシ山へと春の雪山を十分に満喫してきました。
 大雪山といっても、国立公園面積23万ha、ご存じのとおりひとつの山の名を表したものではなく、道内最高峰の旭岳をはじめとした北鎮岳、白雲岳などの表大雪、また非火山による造山活動によって成り立っているニペソツ山や石狩岳といった東大雪、同じく造山活動による網走管内最高峰の武利岳をはじめとした北大雪といったように分別されて、総称を「大雪山」、アイヌ語名カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)と呼ばれています。
 今回、登山したチトカニウシ山は北大雪の北端地域に属し、その名の由来は(我ら・射る・木・がある・処)の意味だそうで、昔そこを通る人たちが矢を放って運を占った大木があったのだそうです。1445.8mのこの山は、流程87kmにも及ぶぼくの故郷でもある地からオホーツク海に注ぐ湧別川の源流を成している山でもあります。夏にはその沢をバリエーションルートとした登攀による対象の山なのですが、全くの一般的ではない山で、積雪期に山スキーを楽しむ人たちにとっては手頃で愛されている山のようです。
 さて、朝に遠○町でFさんと待ち合わせ。少し、時間より早く到着したため亡き友・哲也の家へ訪問し、お参りをさせていただいて、彼のお父さん、お母さんと懐かしい話をしました。彼の部屋は10年経っても、本やマンガ、カセットテープ、机にベッドと、そのまま若い彼の「とき」が止まっています。
山でジンギスカン(北海道でよく食する焼き肉・子羊肉)をする、と言うと、お父さんが取れたての春の山菜・ギョウジャニンニクを親切に持たせてくれました。
 Fさんと、素晴らしい春山日和に今までの今年の山行を挽回するように気分も最高潮。北見峠はまだまだ2m以上の積雪ですが、例年よりやはり少ないようです。
(知床峠開通のTVニュースを見ていても今年は羅臼岳南西ルンゼの積雪もわずか・・)

 峠より望めるチトカニウシ山の頂上をめざし、山スキーは使わずに背負ってツボ足(冬山用語:登山靴で登行すること)で登り始めます。雪質はザラメで、ツボ足でも埋まりません。一部途中で身の丈以上のクマザサこぎがあり、強烈に山の香りがします。
汗ばむ春の陽気、広い雪原に快適なタンネ(トド・エゾマツ、ダケカンバなどの大木がドカンドカンと立っている明るい森林帯)、早鳴きのウグイスが下手な?さえずりを繰り返しています。
(きっとまだ若いのでしょうね。今年デビューしたのでしょう)
 陽射しや雪面からの照り返しの光線もまぶしく、紫外線たっぷりといった感じです。

     先行パーティ(団体)がいるようで、トレース(歩行やスキーの跡)もあり、随所にピンクのテープでルート標識が木にくくりつけられていて、ルート判断をしなくて良くまたまた楽ちんです。ただ、頂上手前の前山の長い急斜面の登高がとてもつらくて・・・
そこを登り切ったところで、背負っていたスキーをデポ(残置)し、そこから頂上までは、約20分。登りで約2時間のタイムでした。

     見渡す景色は、天塩岳、北大雪スキー場を抱える天狗岳、支湧別岳、ニセイカウシュッベ山が見事に端正な姿を間近に見せ白く輝いています。その向こうには層雲峡を挟んでいる愛別岳、上川岳といった表大雪の端が見えるのです。山の向こうもまた山、という広い森の山々が見下ろせます。
「連」という言葉が思い浮かびました。
こういった積雪期の雪山の景色は、大雪山ではまた独特の美しさがあるように感じます。

     知床や斜里岳では、まず感じられない美しさです。厳冬期の荘厳さとか神々しさとはまた違った感じなのです。大好きな光景の瞬間です。きっと、高校時代にこの時期よく来た愛山渓・永山岳での春山合宿の影響があるのでしょうか。
しかし、それでもその美しさは、この大雪山の山岳の広大さにあるのでしょう。遠くの表大雪は、春の陽光にほころび、やや霞んで、そして雪を輝かせている、と言えば少しは適切でしょうか。まさに絶景なのです。
 小さな頂上は地面が表れていて、ハイマツとコケモモがあります。国土地理院の標識には「千登蟹山」と古の文字が書かれています。
 頬をなでるように、風が通り抜けていきます。
気温は12度。眩しい春の太陽。

     Fさんと頂上より少し降りた1200m地点で、ガスストーブとフライパンでジンギスカンを作り、お腹一杯になります。
 陽射しも午後の柔らかさになってきました。ゆっくりとタバコをくゆらせます。
 
 さて下山。ようやくスキーをつけ、快適にターンを繰り返しながら楽しみました。

     山岳会に入会した頃より、ずいぶんスキーもうまくなったと、我が会の名スキーヤーのFさんがほめてくれました。(Fさんは、山が好きだったわけではなく、スキーがしたくて山岳会に入ったのだそうです。一体誰が強引に勧誘したのでしょう)

     GWであちこちに向かう帰省や行楽客たちの車の往来が国道333号線の北見峠に朝より増えていました。

     峠から振り返って見るチトカニウシ山の頂上は、やはり近いようで遠く、午後の陽に佇んでいました。
 GW初日から素晴らしい山行、そして充実した時間を過ごせました。
雪焼けした顔がヒリヒリと痛いです。 
今回の山行にも感謝!

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