月刊おきにのうつわ|第七回伝活 〈京提灯〉
京都の7月と言えば祇園祭。今年もその時期が来ました。
昨年はコロナ禍で山鉾巡行が中止になり神事だけが行われました。今年も巡行は取りやめですが、今日は7/11、各山鉾町の判断により山鉾建てがスタートしているところもありますね。
お祭りに欠かせないのが提灯。今回は京提灯のお話です。
電気が普及する以前、提灯は照明器具として暮らしの必需品でした。夜の外出時に照らしたり、神社の御神燈、店の軒に吊るして宣伝や慶事などの儀式の際、またお盆には先祖の霊を迎えることなどに使われてきました。
現代の暮らしではお祭りで提灯を多く目にする機会ではないでしょうか。祇園祭のある7月に入ると、山鉾町の会所の軒にその山鉾の名前と八坂神社の社紋が描かれた提灯が吊され、町内の家の軒や近隣の商店街のアーケードにも吊されます。
(山鉾が多く建てられる四条通の商店街アーケードにも提灯が吊されます)
また、山鉾が建てられると夜に灯される駒形提灯も祇園祭のみどころとなっています。
(連なって吊るされる 郭巨山の提灯)
提灯の製造は…
京都の京提灯
岐阜の岐阜提灯
福岡の八女提灯
神奈川県の小田原提灯が有名。
岐阜提灯や八女提灯はお盆に飾られる盆提灯がよく知られます。細い竹を組み、その上から薄い紙や布を張り、秋草などの絵が描かれます。
小田原提灯は旅人に便利なように折りたたんだときに上下の蓋の間に収まるように作られたもの。(♪小田原提灯ぶらさげて…お猿のかごや、ですね)
(祇園祭 郭巨山会所前の提灯)
京提灯の特徴はその横骨。
「地張り式」というその組み方は、一つ一つ輪っか状にした竹ひごを麻糸で結んで作られます。他の産地はらせん状に組み立てる「巻骨式」が多く、「地張り式」は手間も時間も掛かりますが、丈夫で長持ちするという利点もあり、提灯を吊る機会の多い京都ではこちらの方法が広く取り入れられています。
この写真は8月末に行われる地蔵盆の写真。
甥・姪の名前が書かれた提灯です。(裏に書かれています)
男児は白に幕の絵が描かれたもの、女児は赤の提灯を奉納します。(なんで男子のほうがカラフルでかわいいのやろ~?と子供の頃思っていました)
通常、お地蔵盆に参加している間はお地蔵さんの前に張られたテントに吊るされていましたが、近年は町内の子供も少なく、実は私と弟の提灯も未だに吊していただいています。
また、アートとしての提灯も登場しています。
(以前キュレーションした、よしもと『Laugh&Peaceアートギャラリー』での工芸品イベントの際に吊られた書とコラボした提灯/小嶋商店)
(京提灯の技術で作られたミニ提灯 ちび丸/小嶋商店)
小さいながらも、ゆらめくLEDライトを入れると大きな提灯さながらの印象。テーブルコーディネートでキャンドルの代わりに使ったり、京都は季節の良いときにベランダでお酒時間をより一層楽しませてくれるアイテムです。
(月見をテーマにしたテーブルコーディネート、ミニ提灯 ちび丸/小嶋商店をお月様に見立てて うつわ/俊山窯)
普段の暮らしにも溶け込むアイテムも登場しています。
私も情勢が落ち着いたらぜひ、祭事などで提灯の大きさ・形の提灯、地貼り式?巻骨式?なんてマニアックなところまで見て回りたいとおもいます。
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