かつて運行されていた空港ホテル連絡バス
かつて那覇市内を走る「空港ホテル連絡バス」というバス路線が存在した。
路線名からもわかるように、那覇空港と那覇市内の主要ホテルを結んでいたバス路線であった。
那覇バスにより、西エリア系統と東エリア系統の2系統が運行されており、19番という系統番号も割り振られていたので、市やホテルから委託された実証実験路線ではなかったと思われるが、利用不振のためか、西エリア系統は1年4ヶ月で、東エリア系統に至っては7ヶ月で廃止されてしまった。
西エリア系統
運行ルート
西エリア系統は、那覇空港を起終点とするラケット型のルートであった。運行開始時のルートを以下に示す。
「那覇うみそらトンネル(2011年8月29日供用)」を経由する初のバス路線であった。
空港から「那覇うみそらトンネル」を通り、若狭ICを久米方面に進む途中の、若狭中通り沿いに波の上ビーチ前バス停が新設された。
波の上ビーチ前以外には、パシフィックホテル前、ロワジールホテル、沖縄ポートホテル前の3つのバス停が新設された。
パシフィックホテル前はバスベイも設けられていたが、かつて三重城営業所が存在した時代に、西三丁目バス停が設置されていた箇所であり、約6年半ぶりに再度バス停が設置された。
次のロワジールホテルは、西エリア系統では唯一、施設の玄関前にまで乗り入れていた。そのためか、この区間で停車する3ホテルの中では、唯一ホテルの公式Webサイトでも空港ホテル連絡バスの案内が掲載されていた。
沖縄ポートホテル前は、名前の通り沖縄ポートホテル前に設置された。なお、ホテル名が2013年10月1日をもってネストホテル那覇に変更されたことから、その後にバス停名も変更されている。
沖縄ポートホテル前を通過後は、那覇バスターミナルであった。この当時は、3代目・那覇バスターミナルであるが、6番・那覇おもろまち線などが停車する国道に面した12番乗り場を発着していた。案内板もしっかりと更新され、19番・空港ホテル連絡バス(西エリア)が追加されていたので、繰り返しにはなるが、実証実験路線的な扱いではなかったと思われる。
那覇バスターミナルを出発後は、県庁南口、商業高校前経由で、波の上ビーチ前に戻るルートであったが、この途中に新設バス停は無く、沿線のすべての既存バス停に停車していくルートであった。
なお、西武門からパシフィックホテル前に向かう経路上には、既存の上之蔵バス停があったが、ルート上にあるバス停では、唯一停車していなかった。バス停の周辺にホテルや観光スポットがないためであろうか。
歴史
西エリア系統は2013年4月1日に運行を開始した。運行開始時は、那覇空港基準で9時から18時半まで、30~60分間隔で1日18本が運行された。
ただ利用者は少なかったようで、運行開始から約1ヶ月後の2013年5月10日には1日8本と半分以下に減便となった。
2013年5月10日のダイヤ改正を最後に、運行ダイヤは変わることは無かったが、2014年7月31日をもって廃止された。1年4ヶ月のみの運行であった。
西エリア系統の運行開始とともに新設された4つのバス停は、那覇市観光周遊バス「ゆいゆい号」が翌日の8月1日より停車することとなったが、2015年5月19日に経路が変更されたため、波の上ビーチ前以外の3か所は廃止となった。
なお、唯一残った波の上ビーチ前も、2015年8月31日の「ゆいゆい号」の運行休止により廃止された。
東エリア系統
運行ルート
東エリア系統は、那覇空港を起点とし、日航那覇グランドキャッスルを終点とするルートであった。運行開始時のルートを以下に示す。
那覇空港から商業高校前までは、西エリア系統と同様のルートであり、商業高校前を通過後は、国道58号を北上していた。
国道58号に入ってからは、21番・新都心具志川線と同様のルートで、那覇新都心に入り、新都心内を横断するルートであった。
上之屋~おもろまち一丁目の区間は、各バス停に停車し、おもろまち一丁目を通過後が独自区間となる。
おもろまち一丁目の次は、DFS前バス停となり、名前からするとおもろまち駅前に立地する「DFSギャラリア沖縄」の目の前にありそうな命名であるが、実際のバス停はDFSの前を通過して、国道330号とモノレールを跨いだ所に設置されていた。
バス停からは徒歩5分ほどでDFSには行けたが、土地勘の無い観光客を惑わすような立地であった。
DFS前を通過後は、現在の7番/8番・首里城下町線と同経路で沖縄都ホテル前(現・ノボテル沖縄那覇前)を経由し、そこからは再び独自区間となり、終点の日航那覇グランドキャッスル(現・ダブルツリーbyヒルトン那覇首里城)に向かうルートとなった。
なおこの区間は、かつて那覇交通の8番・急行線(1972年8月1日~1977年8月31日)や、沖縄バスの8番・首里城下町線のホテル日航那覇グランドキャッスル経由(2004年8月1日~2012年10月31日)が通っていたルートであるが、これらの路線と同様に、日航那覇グランドキャッスルのバス停は、ホテルの敷地内に設置されていた。
19番・空港ホテル連絡バスの沿線にあるが、停車しない既存のバス停としては、おもろまち一丁目とDFS前の間に立地する那覇市水道局前(空港向けのみ設置)、DFS前と沖縄都ホテル前の間に立地する松川西があった。
前者の那覇市水道局前の周辺にはビジネスホテルもあり、観光客の利用も想定されたはずだが、なぜか通過していた。後者の松川西は、この当時は沖縄バスのみが使用していたバス停であったため、那覇バスが運行する19番・空港ホテル連絡バスは通過していたのであろう。
歴史
東エリア系統は2013年4月15日に運行を開始した。西エリア系統の運行開始から、半月ほど後ろにずれたが、認可の関係だろうか。
東エリア系統は、那覇空港と日航那覇グランドキャッスル間を1日8往復していたが、西エリア系統と同様に利用者は少なかったようで、運行開始から約1ヶ月後の2013年5月10日には1日4往復と半減された。
その後も利用状況は芳しくなかったようで、2013年11月19日をもって廃止となっている。運行開始から7か月で廃止という超短命路線であった。