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初代・東陽バスの会社設立はいつ?
2024年6月現在の東陽バスは、2代目・東陽バスであり、2012年5月18日設立である$${^1}$$。
これに対して前身となる初代・東陽バスの設立日は、東陽バスの本社の変遷を紹介する記事では「1951年6月1日設立」とされた資料を引用していたが、実は別日が設立日とされている資料が幾つかある。
設立日の候補は3つ
いろんな資料を見ていくと、以下の3つが会社設立日の候補である。
1951年6月1日
1951年8月7日
1951年9月28日
いずれも1951年ということには変わりがないが、6月1日以外はどれも中途半端な日付である。それぞれの日付が設立日とされている資料について、整理してみた。
6月1日説
1951年6月1日を設立日としている資料は下記の通りである。
沖縄 交通機関の歩み 戦前・戦後編(1979年7月 大城辰雄 著)p.192
バスラマ インターナショナル No.11(Vol.3 No.3)(1992年4月 ぽると出版発行)p.37
1.は、東陽バスの本社の変遷を紹介する記事でも出典として使用した資料である。
代表取締役社長 祖堅方政
会社名 東陽バス株式会社
創立年月日 昭和26年6月1日
所在地 沖縄県那覇市字壺川34番地
(中略)
昭和25年4月、戦後初の民営バスとして設立された協同バスの与那原出張所(那覇市壺屋)がその前身で昭和26年6月1日より業務を引継ぎ誕生し那覇市壺屋で営業した。
太字は筆者によるもの
2.は、2012年10月の会社分割前時点の東陽バスWebサイトの「会社概要」のページである。
■商号 東陽バス株式会社
■所在地 那覇市壺川2丁目3番地17
■代表者 代表取締役社長 祖堅 信夫
■設立 昭和26年6月1日
■資本金 2,562万円
■本社所在地 〒900-0025 沖縄県那覇市壺川2丁目3番地17
太字は筆者によるもの
3.は、ぽると出版が発行している雑誌からである。
バス会社へのインタビュー記事内での記述であることから、東陽バス担当者からの回答であろう。
東陽バスは本島に4つある路線/貸切兼業事業者の中で、保有台数は4番目という位置付けになる。運行エリアは那覇市から中南部、中城中心に東海岸などに路線を伸ばしている。協同バスから分離独立したもので、創立年月日は1951年6月1日。以来、今日にいたるまで独立経営を続けている。
太字は筆者によるもの
8月7日説
1951年8月7日を設立日としている資料は下記の通りである。
「東陽バス」 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
沖縄大百科事典(1983年 沖縄タイムス社発行)p.909
平成24年度 運輸要覧(2012年12月 沖縄総合事務局運輸部発行)p.129
1.は、Wikipediaの東陽バスの記事内での記述である。会社概要の「特記事項」欄に、会社分割前の旧会社の創立年月日の記載がある。なお、出典は不明である。
特記事項:
旧:東陽バスは1951年8月7日設立
2.は、沖縄タイムス社が発行した書籍である。日は書いていないが、8月とあるので8月7日説に入れさせていただく。
東陽バス(株) とうよう―――
沖縄本島内に路線をもつバス会社の一つ。1951年(昭和26)8月、民営バスの一つである協同バスから分離して独立。
太字は筆者によるもの
3.は、沖縄総合事務局が発行した運輸要覧である。会社分割前の最後の運輸要覧において記述があるが、正確には「設立年月日」ではなく、「免許(許可)年月日」である。
事業者名 東陽バス(株)
所在地 (〒900-0025)那覇市字壺川2-3-17
代表者名 祖堅信夫
免許(許可)年月日 昭26.8.7
太字は筆者によるもの
9月28日説
1951年9月28日を設立日としている資料は下記の通りである。
昭和50年度 運輸要覧(1975年10月 沖縄総合事務局運輸部発行)p.180
東商企業要覧 沖縄県版 平成元年版(1989年8月 東京商工リサーチ)p.345
1.は、8月7日説でも取り上げた運輸要覧の1975年度(昭和50年度)版である。この資料では「免許日」ではなく「設立日」となっており、9月28日との記述である。
事業者名 東陽バス株式会社
所在地 那覇市古波蔵263
代表者名 祖堅方政
資本金 25,620千円
設立年月日 昭26.9.28
太字は筆者によるもの
2.は、企業情報を取り扱う東京商工リサーチが発行している書籍である。「設立」「創業」ともに昭和26年(1951年)9月となっており、日は書いていないが、9月とあるので9月28日説に入れさせていただく。
東陽バス(株)
〒900 那覇市壺川34
〔設立〕昭和26年9月
〔創業〕昭和26年9月
新聞記事から絞り込む
3つの候補日が出てきたところで、ここからは幾つかの新聞記事から絞り込んでいきたいと思う。
1951年7月10日新聞記事
協同バスでは去る5月29日総会発議により戦前の通りの各社分立準びを進めていたが、この程この旨各社から次の通り政府へ創立申請中である。括弧内はダイヤ
△協同バス(名護西、本部半島、東村、田井等、浦添各線)
△協和バス(名護東、石川、屋慶名各線)
△東陽バス(与那原、泡瀬■線)
△昭和バス(糸満、港川■線)
(注)■は判読不能だった文字
太字は筆者によるもの
上記は1951年7月10日の新聞記事であるが「各社から申請中」とあることから、この時点で会社設立されているが、まだ運行はしていないということになる。
1951年9月9日新聞広告
車両不足の為 永い間御迷惑をお掛けしまして恐縮してゐます。此の度スマートな新車 入荷しました。9月6日より運行し 更に増車を計画中で御座います。旧に倍して御利用下さい。
那覇市壺屋(トーキ会社前) 東陽バス株式会社
太字は筆者によるもの
上記は9月9日の新聞広告であるが、文脈から推察するに「9月6日に新車を購入し増便」したようである。よって、9月6日以前に設立され、かつ同日以前に運行を開始していることになる。
6月1日設立説が有力
3つの設立候補日と2つの新聞記事から辻褄が合うように整理すると、6月1日に会社を設立し、8月7日より運行を開始したというのが、最も有力ではないだろうか。
ただ、こうなると設立候補日であった「9月28日」が何の日であるかという疑問が残ってしまう。これはまた調べてみたいと思う。