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No.1347 奪い合えば足らぬ、分け合えば余る

数年前、「中学道徳」の教材に「日本のお米」の話が載っていました。そこには、米や稲わらの効用等について幅広く書かれていました。私には思い至らぬものが幾つもあったので「やるなー、お米!」と感心しました。どんなものがあるか、想像してみてください。

たとえば、お米のご飯だけを取ってみても、
おむすび(おにぎり)、おすし、お茶漬け、おかゆ、混ぜご飯、赤飯、カレーライス、チャーハン、ピラフほか、海外にもたくさんのお米の料理があるでしょう。
そして、精米する前の玄米も栄養価の優れた食べ物です。

また、お米は様を変え、姿形を変えた食品にもなります。
お餅、せんべい、あられ、団子、白玉、かりんとう、甘酒、飴、まんじゅう、ようかん、米粉パン、玄米パンや、多くのスナック菓子の原材料としても使われます。

さらに米を使ったお酒も、世界中にあふれています。日本酒や焼酎やビール(大麦だけではないのですね)のほか、ライスワインなどもあるそうです。

他にも、みりん、しょうゆ、みそ、お酢、サラダオイルなども米が使われています。

教科書の説明では、お風呂に使うせっけんにも、ヘアクリームや化粧水にも、ワイシャツやシーツの糊にも、ビタミン剤にも、薬品にもお米が使われていることを知り、ヘーボタン乱打です!

視点を稲わらに移すと、畳の材料として、又、日本家屋のかやぶき屋根の中には、わらが敷き詰められていたし、わら壁としても使われました。
わらじや、ぞうりなどのわら製品、わらの合羽、わらの敷物、わらの縄など、昔の日本では、なくてはならぬ生活の必需品でした。
わらを使い終われば、燃料にも、肥料にもすることが出来ました。また、その灰もいくつもの利用法がありました。

こうして考えると、稲は最初から最後まで人々の生活に密接に結びついていました。私は小学生の頃、「米ぬか雑巾」で木造校舎の床磨きをしました。ツルツルになりました。その活用法のすそ野は広く、想像もしなかったところで用いられている有益な物でした。勿論、ここに紹介しきれなかったものも多いと思います。教えて頂ければ幸甚です。

ところで、日本の農家の数の推移や、米の生産量の推移について、JA全農のページに
「水稲収穫農家の数は、1970年の約466万戸から減少し続け、2020年には約70万戸と 約50年間で7割まで減っています。 米の生産量も1970年には1,253万トンありましたが、 2020年には776万トンと約50年で4割以上、減少しています。」
とありました。

上の情報を、見易く書き出してみると、
         1970年   2020年
米の生産農家  466万戸   1,253万t
米の生産量     70万戸      776万t
(増減)     (7割減)    (4割減)
となります。米の生産農家も生産量も大幅に減っていることは一目瞭然です。生産者の高齢化と跡継ぎの減少化は拍車をかけるばかりです。
 
ここにきて「令和の米騒動」ともいえる事態です。その理由として、
「政府が大規模な地震の発生を煽ったからコメの買い占めが起きた」
「日照条件の問題でコメ不足が起きた」
「減反などの長年の生産調整の問題だ」
など、様々な要因が指摘されているようです。しかし、こうした問題は複合的な要因で起きることが基本なので、原因を一つに絞るのは困難だという指摘がありました。
 
農林水産省は、
「例年、8月は、新米の本格的な出荷シーズンを前に、1年の中では、コメの在庫が最も少なくなる時期ではあるが、全国的に見れば、必要な量は確保できている。ことしのコメの生育状況は順調で、新米が流通するようになれば、一部の品薄状態も解消に向かうとみられるので、買いだめなどはせず、ふだんどおりにコメを買い求めて欲しい」
と話しているそうです。私たちは、身辺不安に敏感に反応しがちです。むしろ、常に行き渡る政策や物流システムや独占や買い占めを許さない施策をお願いしたいと思います。
 
昨日の私のコラム「No.1346 今年は、うめー米が出くるぞ!」のコメントの中に
「『奪い合えば足らぬ、分け合えば余る』をモットーにしたいと思います。」
という相田みつをさんの言葉を送って下さった方がおられ、強い共感を覚えました。この場を借りて、改めてお礼を申し上げます。


※画像は、クリエイター「林さんちのゆかいな米作り」さんの、タイトル「23世紀型お笑い系百姓にようこそ!」の1葉です。その説明は、次のユニークなものでした。紹介してお礼に代えさせていただきます。

農業、、それは、歴史上において草との戦いそして共存とも言えます。林さんちでは、なるべく農薬を使わずに除草をしています。手で取る「テデトール」草刈り機で刈る「クサカリーズ」田んぼを竹ぼうきで掃く「タケボウキ」田んぼの紙を敷く「カミマルチ」溝切り機で草を取る「ミゾキーリ」数々の手法で草との戦いに臨んでいます。その名は、「クサトリーズ」。そんな林さんちの日々をぜひ覗いてみてください。