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No.1362  十二年、ひと昔?

今年、令和6年の干支は「甲辰」(きのえたつ)ですが、12年前の2012年(平成24年)の干支は、「壬辰」(みずのえたつ)でした。以下は、その年の7月10日のわがコラムです。

 「狭い」ことの代名詞である猫の額よりもさらに狭い我が陋屋の庭である。だが、いくら狭くっても、そこはお庭。放っておけば、いつしか雑草・雑木生い茂り、ついには、ミニジャングルと化すのである。
 梅雨に入り、恵みの雨を浴びてスクスク・ヌクヌクと育った雑草や木々達は、ともすると、ご主人様をあざ笑うかのごとき成長を遂げ、中学生が高校へ上がった時に、こちらを見下ろす様なデカイ態度である。そうはさせじと長袖シャツに手を通し、厚手のズボンを履き、手拭いで頬被りし、軍手をはめるという、人様が見たら「怪しいげで、引きそう…」な出で立ちながら、
「来るなら来い!」
の心意気で庭先ジャングルに分け入った。
 というのも、裏山からは腹を空かせた「ヤブ蚊」どもが、獲物を狙うジャッカルのように虎視眈々と人の姿を伺っており、人と見るや見境なく攻撃を仕掛けてくる。オジサンの「えぐ味」のある血などお呼びではなかろうに、頬かむりに騙されてか、ワンワンやってきた。
 蚊に効くカトリスも無ければ、郷ひろみオススメの商品も香取線香もない。両手は雑草を毟り取りながら、蚊を除けたい一心で、身体をクネクネ・腰をフリフリ、首を引っ込め、あちこちにフーフーと息を吹きかけながら格闘すること1時間以上。おもいっきり刺されまくったが、透明の大きなゴミ袋3つがいっぱいになった。
 冷や汗しかかかなくなった我が身体から、大粒の汗が噴き出すほど天気も良かった。
 カミさんが、いつになく優しかった…。

そんなお話です。思い出すだけでウルッと来そうです。そうかあ、12年前は蚊たちもあんなに威勢が良かったんだなあ!50代最後の年のオッサンの血を吸って、蚊の具合が悪くならなかったか、心配することしきりです。ヤブ蚊には、ヤブ医しかいないでしょうから…。
 
ところが、今年の「危険な暑さ」に、さしもの縞々ストッキングを履いたモスキート軍団も恐れをなしたか、(それとも、爺さんの血は「ごめん被る!」とターゲットの対象外にされてしまったか?)まったく刺されませんでした。令和に入ってからの(いや、2020年代に入ってからの?)猛暑・酷暑は、人ならずとも、生き物たちにとって命の危険を脅かすほどの深刻な状況となっていることは、この蚊事情もよく示しています。
 
「十二年ひと昔?」そんなフレーズが思い浮かびました。
「蚊の寿命は1ヶ月ほどで、卵からかえって成虫になるまでは10日ほど。 夏の間は、産卵・孵化・成長が繰り返されるわけですが、水たまりの減少がその環境を奪ってしまい、個体数の減少につながることになります。」
という医療法人富寿会「村田クリニック」のHPの解説に納得のヘーボタン!
 
「一期一会」ならぬ「一夏一会」の蚊の命だったのですね。しかも寿命が1か月ほどなら、酷暑の日の活動は避け、体力温存を図ったことでしょう。我が庭先から、朝晩は虫の音が聴こえるようになりました。ヤブ蚊たちは、勢いづくチャンスを狙っているのでしょうか?


※画像は、クリエイター・happy3さんの、タイトル「草刈りで蚊に刺された」の1葉をかたじけなくしました。蚊との格闘が見えるようです。お礼を申し上げます。