No.828 春の匂いを力に変えて!
「柴犬」は「縄文犬」とも呼ばれ、縄文時代より日本人と暮らしてきたことがその遺跡より知られています。狩猟犬として人々の信頼を獲得し続けて来たのでしょう。
その柴犬の性格は、愛嬌があり、誠実で、恐れ知らず、また、鋭敏で警戒心が強いことなどが挙げられており、賢くて勇敢で独立心があり、我慢強いとも言われます。その反面、頑固であるというような説明もありました。
画像は、2008年(平成20年)5月1日生まれの生後90日目になる我が家のチョコ(カミさんは「すぴぃ」と呼ぶ)です。目で物を言うお嬢でした。育つうちに立派なミックス(柴とシュナウザーとダックスか?)であることが判明し、垂れていた耳がピンと立ちました。今年15歳になります。人間なら75歳前後に相当するといいます。
「雑種は強い」と言われる通り、大変な元気者で病気知らずのお嬢でした。ところが、今年に入って目に見えて様子が変わってきました。いきなり動きを止めてじっと立ったまま1点を見つめています。それは、何か考え事をしているようであり、自分の体内の不調に違和感を感じているようでもありました。
今年に入り、大きな手術を2回も受けました。2月初旬に動物病院で乳腺腫瘍の摘出手術をしました。翌日には退院するというミラクルな感動劇を見せましたが、1か月後に徐々に膨らんで来たお腹をエコー診断してもらったところ、子宮蓄膿症とのことで、その日のうちに摘出手術をしました。
3日後には退院できたのですが、食欲が減退し、散歩をせがむものの近所をトボトボと歩くのみです。1日の大半を寝ているので、ガクンと体力が落ちました。首輪もスカスカになり、腰回りの肉が落ち、骨が見た目にもわかるようになりました。
団地の中にはチョコのごひいきさんが数人おり、何かと声をかけてくれたり、撫でてくれたりしていたので、体をこすりつけたり飛びついたりして、飼い主も嫉妬するくらいに甘え上手でした。
しかし、そういう感情面が見られなくなりました。尻尾もダラリと下げたまま散歩するのです。認知が入ったのか徘徊するような歩きぶりですが、そんな中でも自分の意思だけは押し通し、行きたい所に行く、リードで引っ張られても意に添わぬ所には決して行こうとしない頑固さは健在です。
短期間での2度にわたる大きな手術が、体力を奪い、ダメージを与えたことは否めないと思います。少しずつ「老い」が迫っていたことは、顎髭が白くなったことでも、階段を踏み外すようになったことでも、救急車のサイレンの音にも無反応になったことでも知られましたが、こんなに急に老けこんでしまうとは思いもしませんでした。
まだ、2度目の術後2週間です。復調なるには、さらなる時間養生が必要でしょう。迎えるは、心誘われる「春」です。視覚も聴覚も衰えてきたチョコですが、嗅覚だけは何とか維持しています。散歩する中、春の匂いを力に変えてくれるようにと祈る日々です。