春のお彼岸の中日に、「思いよ届け」と書いています。
私の敬愛するS子お婆ちゃん(91歳)は、9人の兄弟姉妹(2男・7女)の7番目(六女)です。そのお姉さんのH江さん(三女)は、4年前に94歳で亡くなられたそうですが、半生記を残しておられました。太平洋戦争前後の家族の紆余曲折のお話を綴ったその中に、個人の話だからと埋もれさせたくないものがありました。S子お婆ちゃんのお許しを戴いて紹介する次第です。
私は、こみ上げてくるものを禁じえませんでした。H江さんのために、兵士たちのために、16歳の少年のためにも忘れてはならない反戦の思いを一層強くしました。
昭和51年(1976年)3月24日から同年7月11日までの間、折に触れて書き溜めたそのノートは、H江さんが51歳の頃のものです。戦後の30年の星霜が、過去を冷静に振り返らせ、伝えることの大切さに思い至らせたのだろうと思いました。
H江さんが亡くなられた後に息子さんがその遺品の中からノートを見つけ出し、活字に入力し直し、親戚の方々に配られたおかげで、私は知友を介して読ませてもらうことができました。その献身に心より敬意を表します。
H江さんが人生を反芻しながらノートをつづったあの日から、48年目の春を迎えています。その御霊の安らかなれと祈ります。
※画像は、クリエイター・感護師つぼ坪田康佑さんの、タイトル「医療系素材」のリカちゃんナース人形をかたじけなくしました。2人の従軍看護婦さんの姿が思い浮かびました。お礼を申し上げます。