No.1136 贈る言葉
今年も教え子からの賀状に添えられた言葉に元気をもらいました。
「ブログを読んでいます。」
読んでくれていると思うだけで、メールのやり取りはなくても毎日エールを送ってもらっているような気持ちになります。普段は、声なき声ですが、前を向く力にさせていただいています。私にとって「有り難い」人々です。
つい先日いただいた「寒中見舞い」の中に、こんな1枚がありました。
「元気ですか?貴方の教え子も、今年で還暦ですぞ。」
1981年(昭和56年)4月より奉職し始めた時、私は28歳でした。その最初の年の高校2年生だった教え子が、今年還暦を迎えるというのです。正に慶賀、私が年を取る筈です。
世は65歳定年に舵を切る会社も見られるようになりました。昔のように「還暦」を寿ぐ意識は薄れつつあるかも知れませんが、さまざまな不条理や艱難辛苦にもよく耐え、それを乗り越えたからこそ今があります。人生の一つの節目として心から喜び、敬意を表したいと思います。
30年も前のことになりますが、毎日新聞東京本社初の女性論説委員になられた増田れい子さん(1929年~2012年)から頂戴したお手紙の中に、こんな一文がありました。
「ひとは誰しも生涯を通して“途上”にあるのではないでしょうか。懸命に努力を重ねて生きることが、私たち人間のほんとうの生き方だと思っております。」
国語の教科書に載った彼女のエッセーから、クラスの生徒達と感想文を送らせていただいたところ、便箋8枚もの長い礼状を賜りました。トップの画像はそのお手紙の一部です。クラスの文庫にと随筆集『インク壺』も寄贈してくださいました。今も大切にしているお手紙の一節ですが、生き方の指針としています。この言葉を、還暦を迎える教え子たちに贈りたいと思います。
「還暦といふほろ苦き蕪蒸し」
根岸善雄(1939年~ 2022年)