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No.875 犬派?猫派?生き物派?

「犬」の話と言えば、私のような戦後世代の者には「忠犬ハチ公」や「南極犬タロ・ジロ」のことがまず思い浮かびます。子供時代には、TVドラマ「名犬ラッシー」(1957年以降)の活躍にも胸躍らされました。コリーという犬種を覚えたのは、この時が最初です。
 
アニメ「フランダースの犬」(1975年、昭和50年)のパトラッシュは、ブービエ・デ・フランダースというベルギーの犬種だそうですが、この作品が放映された頃は20代になっていました。みなさんの子ども時代の想い出の犬の名前は、何ですか?
 
作家・宮本輝氏の自伝的エッセイ集と言われる『命の器』(講談社文庫)の中に、「私の愛した犬たち」という短い作品があります。タイトル通り、小学校2年生の時のデンスケに始まり、マリ、ムク、二代目ムク、コロ、ビーグル犬のオスの仔犬の6匹の飼い犬の歴史と物語が綴られています。非業の死を遂げた仔犬のムクの話は、胸が痛くなります。
 
その中に二代目ムクが登場します。
「死んだ仔犬の代わりとして我が家の住人となった二代目ムクは、たんわりとした犬であった。“たんわり”とは大阪弁で、おだやかなとか、のんびりとしたといった意味で使われる言葉である」
「(二代目)ムクは私が十二歳のときにあらわれ、七年後に死んだが、その間に二十数匹の子を産んだ。そう言う時期が来ると、あっちからこっちから、オス犬がムクのところに集まってくる。父はムクを『大地の母』と称した。女の中の女だとも言った。『どんな男も受け容れて動じず』と言って笑ったこともある。」

わが家のお嬢・チョコは人間好きで、団地の人々には飼い主よりも先に名前を覚えられました。散歩中に見知らぬ人がよく声をかけてくれるのは、この子の人懐こい性格の故だったと思われます。しかし、犬ウケはほとんどせず、ついに一度も母親になることなく15歳を迎えました。内股には、それこそ開き損ねたバラの蕾が付いたままのようでした。
 
人柄も様々ですが、犬柄も同様です。佐藤愛子著『犬たちへの詫び状』(PHP研究所)の「タマなしタロー」の話に出てくる「アブキンのタロー」や、「下には下が」のドサンコ馬の話は、笑いと涙なしでは読めません。おそろしく読みやすく、愛子女史のお人柄が全開のオススメの本です。


※画像は、クリエイター・にょろさんの1葉です。「子豚ちゃんのコスプレをした犬と猫です。癒しを求めている方にもってこいかもw」との説明もありました。おかげで、ほっこりさせえいただきました。お礼申し上げます。