No.832 有りや?無しや?
1516年(永正13年) に、日本で最初のなぞなぞ集『後奈良院御撰何曾』(ごならいんぎょせんなぞ)が刊行されたそうです。後奈良院(1496年~1557年)は、第105代の天皇です。
その「なぞなぞ集」に、次の問題が収められています。
「母には二たびあひたれども、父には一度もあはず。」
(「母」と言う時には二度会うけれど、「父」と言う時には一度も会わないものは何?)
さて、答えは「くちびる(唇)」ですが、その理由は何でしょう?
今でこそ、「母」は「haha」と言いますから上と下の唇は一度も会いません。しかし、平安時代以降「fafa」と言っていたので、唇が二度会うのだというのです。ちなみに、1593年(文禄2年)にイエズス会によって刊行された『天草本 伊曽保物語』(Esopono Fabvlas)には「母」は「faua」と書かれています。
この「f」音は、奈良時代は「p」音だったなどとも言われていますから、「母」は奈良時代に「パパ」と呼ばれていたことになるのですって!嘘のような本当のお話です。
この大昔のクイズは、一種の「あるなしクイズ」の走りだと思うのですが、私たちも良く知っている「あるなしクイズ」は、1990年代に流行りました。今から30年も前の事です。
先日、1991年(平成3年)に書いた学級通信のコラム欄にこんなのを見つけました。
「Y井先生から、またクイズを出された。
『日本にあってソ連になく、アジアにあってアフリカになく、イカにあってタコになく、シカにあってウマになく、ゲイにあってオカマにないものは何?』
聞けば、私も行ったことのあるところだというが、サッパリわからない。自然と飲み屋の暖簾に書かれた名前がいくつか浮かんでくるが、どれもあてはまらない。
悔しかったので、某クラスでその話をしたら、流石に頭の柔らかい若者であることが証明され、答えは『大学』だと分かった。医科大、歯科大、芸大だったなんて!」
はい、確かに「あるなしクイズ」は、1990年代に流行っていたようであります。
※画像は、クリエイター・おりちゃさんの、タイトル「【ゆるっとクイズ】ここはどこでしょう?」をかたじけなくしました。パンダの大判焼きですから「上野(動物公園)」でしょうか?お礼を申し上げます。