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No.560 入道雲一座は、740万個のお握りを抱えている?

昨日の大分市の最高気温は35℃、湿度は69%で蒸し暑い一日でした。空には、モクモクと湧き上がるような夏雲に近いものも浮かびました。それを見ていると、ふと、入道雲は、どれくらいの水分量を含んでいるのだろうと気になり始めました。
 
と言うのも、『重版出来!』(松田奈緒子著)という漫画がTVドラマ化(2016年)された最終回で、漫画雑誌『週刊バイブス』の看板作家・三蔵山龍の妻が、アシスタントの中田伯の為に用意したおにぎりを前に語る名シーンがあり、そのことが雲のようにモクモクと思い出されたからです。
 
「おにぎり1個を作るのに、どのくらいのお水が使われているか知っていますか?米作りからを考えると270リットルも必要なんだそうです。この見えないところで使われている水をバーチャルウォーターというそうです。ほとんどの人が、この水のことを見えてないけれども、見えない水のことを想像すれば世界が広がる。」
その言葉は、気難しい弟子の伯の心を掴みます。もう、思い出しただけでもジーンと来るシーンなんです。
 
一体、270リットルの根拠は何だろうと思って探したら、「haluさんのブログ」に興味ある記事が載っていました。
 
 「お茶碗一杯分(おにぎり一個分)のお米を、日本の水田で作る時に必要な水の量。水田で、お米を作るのに使う水の量は、10アール当たり2000トン~3000トンと言われてるそうです。お米の平均収穫量は玄米で10アールで約530kg。この事から、玄米1gを作るのに、3,8~6,2kgの水を使う!お茶碗一杯(おにぎり一個分)の、お米は精米で65g、玄米換算なら72g。
以上のことから…計算
72(g)×3,8~6,2(l)=274~446リットルになるそうだ。」
とあり、約270リットルの水が必要となる理由を知る事が出来ました。
 
そこで、今度は入道雲について、もっと具体的な事実を知りたいと思い、これまたネットで検索してみたら、気象予報士の齊藤愛子さんが書いた「積乱雲に含まれる水って、どんだけー?」という気象コラムを見つけました。
 
 「積乱雲。一つの大きな雲に見えますが、いくつもの積乱雲が群れをなしていて、水平方向のそんな積乱雲ですが、どのくらいの水を含んでいるのでしょうか。
  積乱雲に含まれる液体の水の量は、1立方メートルあたり、およそ2グラムです。
 仮に水平方向10キロメートル✕10キロメートル✕高さ10キロメートルとすると、その体積は1,000,000,000,000立方メートル。この積乱雲が含む水の量は、
 2グラム✕1,000,000,000,000立方メートル=2,000,000,000,000グラム=20億リットルです。
  比較のために、25メートルプールの水の量がどのくらいかといいますと、仮に横幅を12,5メートル、水深を1,35メートルとすると、
 25メートル✕12,5メートル✕1,35メートル=422立方メートル=422000リットルです。 つまり、
20億リットル÷422000リットル=4739
となり、積乱雲ひとつには、25メートルプールの水、およそ4700杯分の水分が含まれていることになります。
この水の量は、家庭用お風呂の浴槽でいうと1,000万杯分、東京ドームでいうと1,6杯分に相当します。
  これだけの水分を含んでいる積乱雲ですから、雨として落ちる水も相当量です。」
という驚きの数字であることを教えていただきました。恐るべし、入道雲!
 
しからば、積乱雲ひとつが約20億リットルであり、おにぎり1個分が約270リットルだということは、
 2,000,000,000リットル÷270リットル=7,407,407個
ものおにぎりを作り出す水を含んでいることになります。入道雲一座は、約740万個のおにぎりから出来ていると言い換えられそうです。
 
そういえば、NHKの朝ドラ「ひよっこ」のオープニング動画を作成したミニチュア写真家の田中達也さんには「ハブ ア ライス トリップ!」(「ハブ ア ナイス トリップ」の掛け言葉)のタイトルで、御飯の雲に見立てた中を悠然と飛ぶ飛行機というユニークな作品があります。(「《 見なれたモノが、見たことのない世界へ 》MINIATURE LIFE展2 ~田中達也 見立ての世界~」)
 
田中さんが、雲を米に見立てた背景には、雲の含む水分が、稲を育て米を作るという認識から生まれたものではなかったかと、とても興味深く思ったことも思い出しました。雲が米に見えてしまうと、「クラウド(Cloud)」が「食らうど」に思えてきてしまいます。幾つになっても、私の中の食いしん坊君は健在です。