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No.1433 おかえり!

郵便受けで、「今や遅し」と私の帰りを待っていてくれたのは、埼玉のH先生からの絵手紙でした。2003年(平成15年)2月8日に初めて絵手紙をたまわって以来、21年間もお付き合い下さっている畏友です。今日の画像は、その1葉です。
 
私は、敬愛するご老人(老女)とそのお仲間たちにご縁を頂いて、懇意にしていただいていました。その初めは、2015年(平成27年)のことでした。その時、93歳のお婆ちゃん宅を訪ねて、その人となりに接した私はすごく心を打たれました。
 
さっそく「お見知り通信」を作ってプレゼントしました。その時のコラムには、こんなことを書きました。

 「わたしは
  わたしの人生から
  出ていくことはできない
  ならばここに
  花を植えよう」
 工藤直子という詩人の歌です。揺るぎなき思いで、ここに生き、ここに根を張る決意をしたような迷いが吹っ切れたような、そんな気持ちが伝わって来ます。
 S子さんの自宅前には、沢山の花々が、色とりどりに春を迎えようとしていました。どの根っこも、お婆ちゃんの心の根が育てたものでしょう。色鮮やかでした。
 私は、Y子さんに導かれて、人間の鉱脈を探し当てた様な気持ちがしました。今まで生きて来たのは、この日の感動に出逢う為だったのではないかと思いました。お礼を、通信に代えます。

「お見知り通信」(平成27年 2月 24日)

同じ年の6月、新たに人を交えて水無月の会に加えて頂きました。そのお礼に作ったのが「お楽しや通信」です。その時のコラムには、

 T家の庭にハート型の葉の木があった。「思い」や「心」が、鈴なりに繁った様なその葉は、家主の心そのまま。会釈するように揺れている。
「これ、何の木ですか?」
と問いかけると、主が答えた。
「桂の木です。」
 中国の伝説では、「月の世界に生えている木」とされる。
「久方の 月の桂も 秋はなほ もみぢすればや 照り勝るらむ」
は『古今集』壬生忠岑の歌だが、秋には紅葉するのだろうか?
 今日はS子さんに逢えなかったが、心ある土産を頂いた。針仕事の達人S子さん(別の方)の甲冑武士、プロ顔負けの笑顔溢れるパイを焼き上げて下さったE子さん、多くの方々の心の色が鮮やかに感じられた。

「お楽しや通信」平成27年 6月 25日

その後、メンバーが大分で食事会をした時にも誘って下さいました。2018年(平成30年) のそのお楽しみ会は「人生これから新聞」と題してプレゼントしました。コラムには、

 K先生のお宅から出かける前、S子さんにY子さんがリップクリームを塗ってさしあげた。お二人の姿に魅せられ、微笑ましくて、ついカメラに収めた。
「八十路坂 越えて紅さす クラス会」
「八十路でも 女ですもの 紅をさす」
インターネットには、そう詠んだ人々の句が紹介されていた。
「八十路とて 香水瓶の 二つ三つ」
「八十路とて 余命は重し 木々芽吹く」
そんな、粋で、力強い句もあった。
 余生を誉生と考えて、お付き合い下さるS子さんに感謝。そのお仲間の温かい心に、生きる意欲を掻き立てられている私です。

「人生これから新聞」(平成30年12月1日)

その会は、ある人の胸に沁みる一言で通信名を変えることになりました。
それは2022年(令和4年)秋のことで、その時の新聞コラムには、こう書きました。

 祝賀会での弾んだお話の中でT子さんが「引きつり引っ張り」の言葉を紹介してくれ、和やかな座が、爆笑で包まれました。 
 宇和島方言でもあるらしいのですが、「縁による繋がり」のことだそうで、この会にピッタリ!新聞の名前にいただきました。
 S子さんは、お名前の通り「寿に相応しい心美しき女性」。左はS子さん作の橘の熨斗柄のパッチワーク。誠に慶賀です。「卒寿」、心からお祝い申します。

「ひきつりひっぱり新聞」(2022年10月15日)

今回、その「引きつり引っ張り新聞」(第3号)を発行したのは、今年の11月中旬のこと。お仲間の一人が「古稀」を迎え、そのお祝いにお声がけ頂いたからです。コラムに、

 ネットの「note」仲間の「紫陽花」さんが、私のコラム(仁の音)の「みをつくし」を読んで、
「私は来年70を迎えますが、とてもこの記事の方には及ばないので、恥ずかしく思います。」
とコメントして下さいました。
 恥ずかしくなるのは私も同じですが、そんな畏友に、ご縁を頂いて、31年にもなります。変わらないお人柄、研ぎ澄まされる感性に畏敬を覚えます。
 どんな七十代を紡いでゆかれるか楽しみです。彩り豊かにダーリンの「殿」と二人三脚で人生を謳歌されんことを祈り、ささやかな新聞を贈ります!

「引きつり引っ張り新聞」(第3号)11月14日

埼玉のH先生は、この新聞を何かで読まれて、わざわざ絵手紙を書き送って下さったのかもしれません。さりげなく、そんなことをされる畏るべき友です。見惚れてしまい、その日の疲れは、どこかへ飛んで行ってしまいました。有り難うございました!