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No.825 かぶりつきで共に戦いますぞ!

「僕は、プロになってから928回も三振していて
 打たれたヒットの数は647で
 ホームランは59本打たれ
 失点数は全部で281
 チャンスで506回凡退して
 怪我で692日間も投げれなくて
 試合に負けて泣いた日もたくさんあったし 秘密
 二刀流が無理だと言われたことは数知れない ∞
 でも、二刀流が無理だと思ったことは、一度もない 0
 10勝と30試合を達成した数 1
 失敗の数だけ、僕たちは成長できる。
 
 次の世界へ。」
 
セールスフォース・ドットコム(Salesforce.com)という企業のTVCMです。大谷翔平選手の失敗の数をいろんな角度から取り上げながら、オンリー1に成長してゆきます。夢を持ち続けて励むことの大切さを自らの企業の指針として、また、会社や学校で報われずに臍をかんでいる人々や、日本という国にエールを送るCMだと思いながら、私は、少し熱い気持ちにさせられているのです。
 
このセールスフォース・ドットコムとは、顧客管理システムや営業支援システムをオンラインサービスで提供する米国の大手ソフトウェア企業名だそうで、日本では2000年から活動を開始していました。コピーライターは何という人なのか、ゆかしく思われます。
 
さて、大谷翔平選手はCM中で、
「でも、二刀流が無理だと思ったことは、一度もない。」
と述べていますが、彼の言葉には、こんなのもあります。
「打って、投げて、走って、野球やってるだけです。」
 
彼は、野球が大好きで、ひたすらに野球を追い求めながら自分を高めようとしています。しかも、楽しむことを忘れない求道者の姿は、修行者が悲壮感を漂わせながら自分を極限まで追い込む姿とはまるで別のものです。
 
「ものごとを知識として知っているだけの人は、そのことを好きな人にはかなわない。また、それがいくら好きな人でも、そのことを楽しんでいる人にはかなわない。」
と孔子は『論語』の中で述べています。大谷選手にとって「投げて、打って」の二刀流も「投げて、打って、走って」の三刀流も、すべて「大谷流楽しむ野球」の証なのでしょう。
 
「超人」とか、「宇宙人」とか、「サイボーグ」とか、その驚きを含んだ賛辞には事欠きませんが、ベーブルースの存在や大谷翔平の存在そのものが、次代の新たなヒーローが必ず登場する瑞兆なのだと想像しています。ワクワクするような期待感があります。
 
昨夜のWBC準々決勝で、日本はイタリアに9-3で勝利し、準決勝(決勝ラウンド)進出を果たしました。
「怏(おう)の中に快がある
『怏』は、心楽しまぬこと
『快』は、心楽しむこと」
と詩人の吉野弘は言いました。どんなに嫌で苦しい状況の中でも、そのことの中に楽しみを見出せるか否かは、心のありようや心の籠めようとも無関係ではなさそうです。
 
日本チームは、さらなる高みを目指して準決勝・決勝の舞台であるアメリカのマイアミ(ローンデポ・パーク)に進撃していきます。世界の強豪を相手に、苦境に立たされたり、不測の事態を招いて凍り付くような局面をむかえることもあるやもしれません。そんな中にも「快」を見出し、心から難局を楽しみ乗り越えて、世界一の笑顔を見せてくれることを期待しています。

私たちも共に戦う気概で、TVにかぶりつきますぞ!


※画像は、クリエイター・わたなべ - 渡辺 健一郎 // VOICE PHOTOGRAPH OFFICEさんの、タイトル「ユニフォーム」をかたじけなくしました。身が引き締まる1葉。お礼を申し上げます。