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No.1103 歯に心に沁みる甘露

「忘年会だよ、全員集合!」
新型コロナに脅かされるより数年前の12月のある日、講師仲間からのそんな大見出しの案内プリントをもらいました。
 
「どらどら?」と場所と店名を見てみたら、大分でも名にし負う「都町」入口の飲食店の名がありました。
 会費:3,500円 飲み放題です。
 ただし、19時~21時までの2時間。
 
懇切丁寧な若い幹事さん作成のプリントには、地図も矢印も印刷されてあり、至れり尽くせりの案内です。我々老々先輩を相手に、介護のココロも持ち合わせた奇特な御仁です。
 
「都町」とか「栄町」とか聞くと、今もその昔も、仕事帰りの飲んべぇ(失礼!上戸の紳士・淑女)たちの聖地?いや日本経済を支える男女に潤滑油を注し、暫しの間でも愚痴を吐かせ、憂さを忘れさせてくれる、溜まり場のような歓楽街を想起します。
 
さて、その日のお楽しみ会は、誰一人として遅刻する者なく、定時に始まりました。こちらの席は、老若男女8人です。お酒よりも、おつまみや料理の注文に忙しく、若い方々がメニューとにらめっこしています。
 
すると間もなく、隣に若若男女10人ほどのグループが来て席を埋めました。一目で水商売だとわかるド派手な衣装とお化粧です。デパート1Fの、Mr.ビーンもむせ返る様な(?)化粧品売り場の匂いのする元気な集団でした。
 
彼らの「活力」のお蔭で、日本経済も回っているんだなと思いました。若いって、それだけでいいですね。傍にいてくれるだけで元気をもらえるような気がします。その明るい声がいい。気の置けない男女のあけすけな物言いもいい。よく飲み、よく食べ、よく語ります。我々老若組は、耳をダンボにしながら、彼らのお話も一品に加えました。
 
その数年の後、世界中があの騒ぎに飲まれました。蜜を避け、マスク必至で、ソーシャルディスタンスを堅持しなければなりません。国策とは真反対の喧騒を是とする都町は、閑古鳥が鳴いていた事でしょう。

私たちの平均年齢は、さらに高くなり、「忘年会」は「もうねんかい」(もう無いのかい)に変わりました。あの頃に比べると、気概や活力を忘れかけているように思います。この時期になり、血の巡りをよくする会を懐かしく思い出してしまいました。
 
「白玉の歯に沁み通る」季節が、秋だけではないことを教えてくれる寒い日々ですね。

※画像は、クリエイター・凸けんさんの、タイトル「月いち習慣目標|写真日記266日目」から日本酒の1葉をかたじけなくしました。口からお迎えに行きたくなる良い絵です!お礼申し上げます。