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No.1365 我が家の女神?

恥ずかしながら、文章がまとまらなくなったり、1つのコラムにえらく時間がかかったりするようになりました。こんな時に、「昔のコラムでお茶を濁す」なんてことを平気で考えられるほど能天気な年齢を迎えています。暑さの故と、ご寛容いただければ幸いです。

 店頭にも見られるビワの季節だ。「枇杷」の実にその形が似ているから「琵琶」の名を貰ったという。ふくよかで掌にすんなりおさまる曲線が、えも言われずイイ。
 「桃栗三年柿八年」と言い、「枇杷は九年で成り下がる(「成りかねる」とも)」と言う。私は、切り口の方から皮を剥いていたのだが、なり先のヘソの方から皮を剥くとうまくゆくと知った。「ヘー、ソー!」(お約束?)
 ところで、「桃栗三年柿八年」には、全国にさまざまな続きの言い方があることをネットで調べて知った。
「桃栗三年柿八年、
 枇杷は九年でなり下がる、
 梅はすいすい(酸い酸い)十三年、
 梨はゆるゆる十五年、
 柚子は大馬鹿十八年、
 リンゴにこにこ二十五年、
 女房の不作は六十年…」
この末文は、あまり大きい声では唱えられないが、思わず笑った。
 だが、敵もさるもの、ひっかくもの。更に言葉は、続いていたのである。
「亭主の不作は、これ又一生!」
笑うに笑えない…。

そこのあなた!お笑い召されたか?
いや、苦笑したのは、私です。今から60年も前に放映されたクイズ番組「それは私です」のタイトルを思い出してしまったからです。あの番組は、3人の回答者の中から本物を探し当てるという趣向でしたが、こちらは、ピンポイントでベクトルの先が私を向いています。鋭すぎるそのことわざ(?)の名も知らぬ作者に脱帽です。

不作を引き当てたカミさんには、心からご同情申し上げるよりほかありませんが、あなたのお陰で他の女性が助かったのだとしたら、あなたを女神のように思えなくもなくなくもないような…?

とここまで書いてきて、ふと思い出したのは、筒井康隆のSF小説『時をかける少女』を映画化した「時をかける少女」(大林信彦監督、原田知世主演、1983年、東映)の中で、主人公が歌っていたことです。「桃栗三年柿八年」しか知らなかった私には新鮮な驚きでした。
 もも~くりさ~んねん
 かきは~ち~ね~ん
 ゆずはくねんでなりさが~る~
 なしの~バカめが~
 じゅうは~ちね~ん ♪

あの映画の時から、41年が経ちます。
時を駆けたのは、少女だけではなさそうです。


※画像は、クリエイター・yukikoさんの「まだまだ暑いけど、秋の足音聞こえます。」の1葉をかたじけなくしました。小さい秋が、大きく口を開けようとしています。お礼を申し上げます。