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私は何者か、577
よくあるでしょう。
静かすぎて、しーんって、音がする。って。
そんな、空間が好きなのです。
それでも、わたくしの耳鳴りは、黒曜石の海岸に寄せる波のように、途切れることなく響き続け、押し寄せる。
永遠に、人知れず、静かに行くことなどできぬ。
そして、黒く光る砂浜もまた永遠に続く。果てはきっと冥王星と。
今夜の月はまんまる。
孤独に耐えて、それでも、丸く、円やかに、我の頭上にありて、ありがたく、美しく、気高い月。
誰だったか、中也とかいふ。
ぽっかり月がでましたら、舟を浮かべて、、
そうよ。
夜に。漕ぎ出してもみよう。
他人は眠れよ。
我は漕ぐ。
何処へか。
わたしは何者か。