私は何者か、番外編 a dozen短歌 45
風は青ビルのてっぺん吹き抜けて人も車も奈落へ急ぐ
鳥でなくてふでもないがただ高くただただ高く高く行きたし
待つあいだ待たせる曖昧マダガスカルあの木の名前はたしかバオバブ
さよならの手紙ぺたりと裏返し紙飛行機の青空抜けて
優しくも冷たくもない水の青花びら散らし浮かべて飲んで
囀りのどこかで聞いた言の葉と似ていてはっとしてふりかえる
影ひとつ小さな鳥の連れてくる恐ろしいほど静寂長閑
つるバラのどこまで腕を伸ばしゆく昨日の涙忘れてしまふ
欠伸して背伸びしてみてわたくしの身体はやはり自分のものよ
猫ふみふみ私もふみふみしたい忘我呆けて惚けて候
白い花何の花だかわからぬが毎年桜の頃に咲き問う
夜に咲くジャスミン白く我を待つどんな世界のどんな社交界
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