私は何者か、341
ひどい雨だった。
朝起きたら、つるバラもぐったりとなり、葱坊主を付けたネギも散々に傾いている。
雨にはげしく打たれたのであろう。
痛々しい。
立て直すか、いや、植物の力を信じなければ。
それは、わたしも同じ。
一昨日は週末の家で過ごした。週末の家では、じぶんを脱ぐ。のである。
深い水の底まで行けるようで、行けないけれど、少なくとも自分の体温以上のものを感じることができる。
あの日息苦しくなって以来、わたしの日々は行きつ戻りつ。何某かの臆病さが付き纏う。だから、朝の鏡の前で完璧にじぶんを仕上げて出掛ける。
一日その顔で過ごし、幾許かの暮らしの糧を得るために。
それだけのこと。それだけのこと。と。
誇れることはないが、後ろめたいというわけでもない。
正直に生きるという。簡単そうで、その難しさをあゝだ、こうだと書き殴る。
深い水の底では、じぶんが自分であるような気がする。
黒曜石の海岸。
動くものは雲と波以外何もなし。
わたしと猫のモモタローと。
そこは、誰も、届かないところ。
の、はず。
私は何者か。