ダイヤグラム
観に行こうかと彼は言った
「三島由紀夫VS東大全共闘50年目の真実」
いきなり、持ってかれた
そして、雨上がりの金曜の夜
食事の後の珈琲
そう、たしかキリマンジャロの香りにうっとりしていた時だったか
「真夜中のカウボーイ」のことをふと思い出して言ってみたら
彼は知っていた
今まで、誰にもこの映画について話したことなどないのだが
出会って幾日もたっていない人が
この映画を
しかも
ラストの場面を話し出した時には
もう完全に恋に落ちた
noteを始めないとならなくなった
彼を失ったときの私の片翼としての十全なるアウトプットの世界
別の日
また
こんなことがあった
華氏451度
レイ・ブラッドベリ 原作
彼は言う
「その映画知っている」
卒倒
思いもかけない接点が気持ちを深める
諦めていたものたちが
たちあがる
少女のようだと笑えばいい
けれど、老婆の前掛けがパタパタと風に揺れる日はそう遠くない
彼も私も無論詐欺師ではない
どうしてこうも同じような感覚がダイヤグラムのように交差するのか
少女のようだと笑えばいい
どちらにせよ
持たぬものからは奪えまい
彼の肩先に光るもの
私の肩先に光るもの
光りつづけるもの
誰にも奪えまいか
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