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おとなの旅 3


しまなみ海道
瀬戸内
瀬戸田のしまごと美術館

野外彫刻の点在する島々

とりわけ
素敵なのが
新宮晋の「波の翼」

氏の
小さな個展でその存在を知り

居ても立ってもいられなくなり
引き寄せられるように
「波の翼」に逢いに行った

波がすぐそこまでくる道路沿いの海のなかに

きるん、くるん、きりりん

微かに軋む音を立てて
その翼は
波間に佇む

長い時間
しずかに
みつめていた

息をすることさえ
忘れていたような気がする

そのとき
わたしは
たしかに
生きていたはず


「波の翼」


遠い旅路の末

ふたたび
戻ってきても
赦される
そんな場所であるような気がする

ひとは
ずっと
そんな場所を
探しているのだろうか

ずうっと
見ていた

ひとりきり


旅はまだ
途中


けれど、わたしには相棒ができた


波の翼よ

わたしは赦されて

生きている


翼はかつてイカロスの背にあった




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