私は何者か、番外編 a dozen 短歌 47
何故なのか何処にいるのか問い続けそれが正しいなどと自惚れ
ほんとなら許せるはずのすれ違いひとつの花にひとつのかほり
春の雨濡れても全然平気だと大人になってやっとわかった
葉裏見せしゃらしゃら揺れている木々の生きるすべなる倣うということ
暑い春水飲み鳥の勤勉さ律儀さ真面目それゆえ可笑しみ
美しき一年草の花びらのこれが永遠に生きてゆくこと
トンネルを抜けてましろきシャツ靡く川端康成と云ふ人を知る
その村の田園風景彩しゆふぐれ間際水面ドキドキ
おつかれのきみのシャンプー泡立てていつまでもただこんなこのまま
月はどこ星はどこなの目瞑りて肩が寂しいひとりの独り
ゆふぐれのキッチン誰もいない日の玉葱切って独り泣くだけ
何度目の春だとしても今日限り今日の足裏に今日のせせらぎ