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私は何者か、番外編 a dozen 短歌 38



雲湧いてサヨナラの前に伝えなきゃ景色がどんどん変ロ短調

真っ白い煙のようなそのなかに降りける虚降り積む嘘言

亡き人の話しながら飲むビール我の失うきみの失う

足跡をひろえばいつかたどり着く失うかぎり失いつつも

失うるものの色とか香りとか貌や陰翳のぞみやその意味

諦めてそれからのほうが優しさと赦しを知ってもっと生きねば

彼という不思議なものよ我という不可思議なもの三日月で指切る

冬の波怖いといふはどんなことたとえば喪失たとえば獲得

忘れたらそれは幸せ一割の半分ほどの記憶でちょうど

いつまでも人混みにいて捨てられず得るものもなしたったひねもす

種撒いてただ待つのみと人の言うここらで少し怒ってもみる

真っ暗ななかに小さき灯あり手を近づけよ記憶の熾火か

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